治して、先生。

09



「あとは本当に最後の手段になるんだけど…」
 もったいぶって霜月が言う嘘くさい台詞さえ、光明に思えてしまう程だ。

「…な、はぁ…っ、っく、ひくっ、は、ぁ…っ、な、に…?」


「前と後ろから前立腺を突いてほぐすのと…、さっきの機器よりも強めに調整できるもので胸の肉芽を刺激するんだけど…。でもこれは、たぶん井之崎君が嫌だと思うんだ。さっきよりもっともっと恥ずかしい格好になるから」


「はず、かし…か、っこ…」


 確かに、修右の肛門や内部はじんじんと脈動に合わせて痺れ続けているし、乳首も空気に触れているだけなのにぴりぴりして、医師の前で絶叫しながら何度も射精した記憶だけは間違いなくある。

 だけど、…もっと恥ずかしい格好?


 …想像がつかない。


 こんなに恥ずかしい姿を晒した今なら、もう何も恐くないような気も、して。



「どうかな、井之崎君。まだ治療、受けたい?」



「は…は…、ぅ、ん…」

 目に涙を溜めた修右がそう答えるのも想定内だったみたいに、霜月は滅菌パックされたなにかをワゴンから取り上げて微笑み、修右の頬を撫でる。


「井之崎君はいやらしい子なんだね…。病院のベッドで射精するところいっぱい見られて、僕にもこんなに精液ぶっ掛けて…、なのにもっと恥ずかしい事をしたいなんて」

「そっ、そういう、ことじゃ…」

「うん、ごめんよ意地悪して。…君はとってもいい子だ…。恥ずかしいところの病気、頑張って治そうね」


「ッぅ、んっ…、?」

 にゅるにゅるとぬめる指が、力をなくしている男性器を握って扱く。

 すっかり疲れ切ってもうなにも出ないそこを優しい力強さで揉み込まれると、勃起はしないまでも、むずむずしてまた前立腺が疼き出す。


「っは…ぁ…っ」


 最初こそ股間に触れられる事に違和感を覚えた修右だったが、これが『より恥ずかしい事』なのだろうと、いつしか素直に受け容れてしまっていた。


「井之崎君の男性器は形も色も綺麗で…ちゃんと包皮も剥けてて…。うん、恥垢も溜まってないね…いい子だ。尿道口も綺麗だね…」


 扱きながら品定めでもするように霜月がわざわざ声に出すものだから、さすがに絶頂を繰り返して靄掛かったような頭にも羞恥心はもたげた。

「せん、せ…はっ…そ、なの…んっ、言わなくて、い…」
「いやいや、ここからの治療に大切なんだよ。ほら」

 ぱりぱりと包装を破られたのは、透明な細長いチューブのようなものだった。霜月がまたそれにローションを塗り付けて──確かに話に出ていた尿道口へと添えた。

「はっ…ふ…?」


「前立腺はね。…尿道側からもほぐせるんだよ」


 にゅぷ、ぷ、ぷぷっ…

「ッんぅ゙!? ッはっ! あっ!?」


 男性器の中、尿道の中に、チューブが潜っていく。狭い肉を、硬い異物が擦り上げて掻き分け、圧し拡げて突き進んで来る。


「っは、ァ…ッ! ん、ん゙ぅ゙ぅ…ッ」

「ほら、見えるかい? 井之崎君の男性器が皮も剥けて恥垢もないし、形も綺麗だからカテーテルがどんどん呑み込まれていくよ。見て。よく見るんだ」



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