FANATIC LOVE 03 大きな乾いた掌が下腹を撫で、股間を腿で前後に揺さぶられて涙が浮く。 なにをされているのか分からない。 少なくとも、殺されたり殴られたりするわけではなさそうだが。 だからと言って、アイドルがファンにキスを許したり躯を自由にさせるわけには。 「ッ、」 やっと思考を取り戻し、助けを呼ぼうと口を開いた途端、 『し。ダメだよ、赤谷くん』 ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ…っ 「っ〜〜ッ!?」 突然乳首に細やかな震動が走って、赤谷は稲坂の胸に崩れ落ちた。 衣装から抜き出された稲坂の人差し指には、第一から第二関節まで程度の長さ、指ほどの太さの黒いものが指輪で指に寄り添い、震えていた。 その黒いものには小さなイボがびっしりと並んでいる。 『…黒くて鞄の中では見落とされたし、ボディチェックの後、鞄からポケットに移してもこれくらいならバレない。いっぱい気持ち悦くしてあげるね…』 静かながらもそれなりに強い震動が衣装の股間、玉袋にに添えられてチカッと目の前が弾けた。 ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ…っ 「ッは…っふ…、ッ」 『ほぉら、気持ち悦くなってきた…早く答えないと怪しまれて、硬くなった赤谷くんのおちんちん…見られるよ。早く答えて…』 「…っ、…ッん…っ、【アカ】、【ツキ】…っ」 「ああ! 【アカツキにキミと】! 確かにあのダンスは赤谷くんによく似合ってたよ」 純粋に答えを得られて嬉しそうな稲坂が、震動し続ける機械を付けたままするりと赤谷の指を搦め捕った。 指に、手の甲に震動が伝わり、その繋いだ手を稲坂は唇に運んだ。 ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ…っ ちゅぱ、ちゅぱ…ちゅ、ちゅ… 小さな小さな、赤谷にだけ聞こえる程度の音で指の股を舐め、吸う。 『ゃ、ゃめ、て…くださ…っ』 極力潜めた声で首を夢中で振り伝えるが、稲坂は赤谷の指をしゃぶり股間を刺激するのをやめない。 『お手てを性器にしてあげる。他の人と握手する度に、マイクを握る度に、私にえっちにされた指を意識してね…』 「ッ!?」 『私の舌に集中して。ああ、気持ち悦いね…赤谷くんは今、おちんちんちゅうちゅうされてるくらい気持ち悦い…』 「ゃ、っゃ、め…っ」 涙が浮かぶ。 さっさと人を呼べばいい。 分かっているのに股間に熱が集まっているのは事実で、こんな痴態をスタッフやメンバーに知られたくない思いが喉を絞る。声が、出ない。 明らかに欲情した男の蠢く舌が指を這い回り、ヌルつく唾液に嫌悪が募るのに、同時にその場所へ与えられる幾多のイボの刺激に神経が直接撫で上げられるかのようで。 「じゃあ赤谷くん、どの曲のダンスが1番難しかった?」 ちゅ…ちゅぷ… ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ…っ 「ん…っ、んぅう…っ」 (も、もう、許して…ッ) 懸命に首を振っても、稲坂は一切頓着しない。 『おちんちんコリコリ…指しゃぶられて気持ち悦いんだね…』 腿でぐりぐり股間を押し上げられ、熱を帯びた男の吐息が耳に捻じ込まれる。ゾクゾクと勝手に躯が震える。 「そんなに悩まなくてもいいよ。直感で答えてくれたらいいから」 飢えた犬のようにベロベロと指を舐め回しながら平然とした声音で喋り続ける男のギャップが怖い。 「…っ、【キラー】、【チューン】…っ」 「ああ、確かにあの曲はフォーメーションが難しいものね」 ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ…っ [*前] | [次#] 『雑多状況』目次へ / 品書へ |