予行演習は本番エッチ 01 「なぁ俊彌、俺、好きなひとできたかも」 そう聞いたとき、世界が崩壊したかのような衝撃が襲った。 俺と光琉は幼馴染だ。家は隣、親同士も仲が良く、保育園から高校まで同じという漫画かよ、という状況だ。 もちろん、高校は俺が光琉と同じところを選んだだけだが。 俺が光琉を好きになったのは保育園の時だった。としくん、と笑う天使の事を、ガキながらに「守らなきゃ」と思った。 だから守り抜いて来た。 光琉は天使だから地上の有象無象の機微に少しだけ疎いところがある。 そんな光琉に親切ヅラして寄ってくるヤツや明確な悪意があって寄って来るヤツは裏で排除してきた。 ガキの頃は俺も馬鹿だったから物理的に。もう少し長じてからは社会的に。 特に性的な事を教えようとしたヤツは徹底的に。 保健体育の教師はさすがに排除するわけにはいかなかったから、ふたりでさりげなくサボった。 俺の精通は小4で来たが、光琉のそれは中学1年で来た。夢精したと言う光琉に、俺は徹底的に教え込んだ。 「光琉、それはとんでもなく恥ずかしいことだ。俺みたいな家族にしか言っちゃダメだし、でも実の親にも言うもんじゃない、分かるな?」 「ぅ、うん…」 「だから親にバレないようにこっそりみんな処理してるんだ」 「ど、どうやって…?」 「教えてやるよ」 そして俺は天使の初々しいちんこを扱いて、快楽を与え過ぎないよう注意した。 「こんなの毎日したらダメだぞ。ちんちんの色変わって好きな人にバレたとき嫌われるからな」 「い、色変わるの?」 「変わる。すぐバレる」 「じゃあどれぐらいで処理したらいいの?」 「…光琉が分かるようになるまで、俺が処理してやるよ」 幼少期からの努力もあり、光琉は俺の言う事は絶対正しい、と刷り込みに近い思いがある。 光琉が感覚を掴んでしまわないように、光琉の性欲が増幅しないように細心の注意を払いながら、俺は不定期に光琉の性処理を行い続けた。 「コレが今気持ちいいのヘンだからな、光琉。他の人に絶対言うなよ」 「ぅ、うん…ごめんね…」 「いいんだよ、俺は家族みたいなモンなんだから」 俺は光琉を静かに密やかに調教しながら、頼りになる幼馴染を演じ続けた。 もちろん俺自身は光琉で自慰しまくったし、いざその時にまごつく訳にはいかないと男に限らず女ともヤリまくったので、正直高校生とは思えない赤黒ちんこになったが構わない。 相手を光琉だと思うだけで何度だってヤれた。 そんな光琉から、「好きな人ができた」。 相手はクラスメイトの女子。沢野ゆか。 その時点で俺は相当正気を失い掛けていたが、光琉の最後のひと言で俺の理性は決壊した。 「ね、俊彌。告白してもいいかな」 いい訳がない。 「いいけど。じゃあ、上手くいった後の練習しないとな」 俺の口は穏やかに笑っていて。 「ありがとう!」 光琉は無邪気に笑った。 告白して、一緒に帰って、何回か帰ってる内に手を繋いで。そんなに時間の長くないランチを含んだデートに行って、なんて。 どこの童貞が書いたデートマニュアルだよみたいな話を一通り伝えて。 続きは土曜日な、と伝えると光琉は嬉しそうに隣家へと帰って行った。この土曜は俺の家族は居ない。 思い掛けない形で迎える事になった『その日』のために用意したもの達を見下ろして、俺は昂奮を鎮めるべく小さく息を吐いた。 [*前] | [次#] 『雑多状況』目次へ / 品書へ |