朝の光景

05



「犯罪、ねえ。ヌレヌレだけど?」
「気持ち良さそうに可愛い顔してたよ?」

 裾から痴漢達の指が俺のちんぽに迫り、白濁を指先に掬う。
 俺は顔から火でも出そうになった。ぎち、とネクタイが鳴く。

「ほら。これ何かなぁ?」
「言ってごらん? えぇと…児玉、透くんかあ」
「!」

 ひとりの痴漢が俺の胸の内ポケットから名刺を引き抜く。そして、俺の携帯も鞄から取り出した。

「ゃ、やめ…っ」

 純粋な恐怖を覚えて、俺は青ざめる。
 個人情報を搾取され、脅され続けるのか。そう思ったが、違った。

「ふぁっ?!」

 トランクスの上からひとりの痴漢が俺のちんぽを咥え、他の痴漢達は俺のシャツを剥く。露になった乳首を、痴漢達の舌が襲う。

「ぅあ、ああん…っ!」

 やめてくれと言いたいのに、声になるのは嬌声ばかりで、躯がくねくねと動いてしまう。
 そんな俺の前で、携帯をいじっていた痴漢が電話を掛け始めた。

「あ、もしもしすみません、――」

 痴漢が続けて言ったのは、俺の勤める会社だった。
 躯中を翻弄されて目を潤ませながらも、「!」俺は息を詰めた。

「はい、そうです。私、大槻医院の医師なんですが。はい、児玉さんがですね、喉風邪で声が出ない状態なので代わりに掛けさせて、はい、そうです」
「んッ…ん、ぅ…っ!」


- 142 -
[*前] | [次#]

『雑多状況』目次へ / 品書へ


 
 
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -