ヒトガキ

03



「リングが外れなくてパニックにでもなったかな? ち○ぽ勃たせたまま泣きそうになってる君も可愛かったろうね」

 男の囁きは止まず、誰かが止めに入ってくれる気配もない。もちろんペ○スも撫で回されたままだ。
 恐る恐る俯いた顔を横へ向ける。視線が合えば、助けてくれるかもしれない。
 そんな一縷の望みは、周囲の状況を目にした途端に、粉々に砕け散った。

(そん、な…っ!)

 周囲の目は、既に全て、夕樹に向いていた。それも、にやついた笑みをたたえて。

 夕樹が愕然としたのを見て、主犯の痴漢はまた耳朶を食みながら夕樹のバックルを外し、脱がせにかかってきた。

「すごいだろ? みんな君の恥ずかしい姿を見に来たんだよ。さすがに車両全部じゃないだろうがね。君がこれだけ暴れても騒がれないくらいには、私の同類がここにいるということさ」
「ぁ…ぁあ…っ、ぃ、いや…っ」
「インターネットってのは便利だね。時間と場所を指定して、『カワイイ男の子に痴漢しませんか』って仲間を募ったんだ」
「嫌…っ、嫌だ…ッ」
「おっと」

 本格的に夕樹が恐慌を来たしかけると、痴漢がその手で口を塞いだ。

 横から違う手が次々に伸びて、ズボンを脱がし、下着を脱がした。ジャケットを開き、ベストをたくし上げられて、シャツが開かれ、アンダーは刃物で切り裂かれる。
 最後に刃物を持ち出されたことで、夕樹は完全に抵抗など考えられなくなってしまった。

 電車の中でほぼ裸に剥かれ、数十人の男に見られるという恥辱。

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