CLOSE

09


 ぼろぼろと涙がこぼれたが、口を押さえ手すりを掴むので精一杯の敦志は、それを拭うことすら出来ない。
 双丘に男の肌が触れて、全て入ってしまったことを知る。

「ッぁー…お前ン中は最高だな、淫乱…。『俺』の形になってぐにゅぐにゅ動いてやがる」
「ゃ…っ、はぅん…ッ」
「蕩けた面しやがって。よっぽどイイらしいな」

 焦らすように男がゆっくりと腰を使う。敦志は頭を振りながらも、抵抗らしい抵抗は何も出来なかった。

──嫌…いや…だめ、なのに…っ。

 腰に駆け上がる快感に勝てない。全身で男の動きを追ってしまう。

「んっ…んっ…んっ…」


──こんなの、バレたら…。


「んっ、んッ、んんッ──!」

 男が敦志の奥のいいところを押し潰した。内心の不安とない混ぜになって、敦志はまた腿を震わせ、ぐしょぐしょの下着を更に濡らした。
 そっと頬に男の手が添えられる。

「まだまだ…。あと2回はイけるだろ…?」

 手すりを握ることすら出来ないほど脱力した敦志を、男が後ろから抱えるようにして激しくピストンを始めた。

「んッ、ぅっ、んッんッんッんッ…!」
「ほら、バレちまうぞ?」
「ぅンッ──…ッ、っ、ふッ、っ、」

 揺れは電車の動きに紛れて気付かれないのか。それとも皆、本当は気付いているのか。
 敦志はそれでも声を抑えて、痴漢が解放してくれるまでの間に、痴漢の言葉通り、計5回もイかされた。


「ごちそうさま、淫乱クン」


 駅に着いて放されたとき、囁いたのは誰だったのか。
 敦志は顔を俯けて、濡れた下着の感触に震えた。



end.

- 123 -
[*前] | [次#]

『雑多状況』目次へ / 品書へ


 
 
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -