In the BAVEL

01


 固いシーツ。合わない枕。
 そして、躯中に感じる違和感に、季は瞼を開いた。

 蛍光灯がついたままの室内は、何故かそれでも薄暗い。

「え…?」

 見覚えのない場所に驚いた季が、身を起こそうとした途端、火が点いたように躯が熱くなった。

「ひぁっ…、ぁ、ぁ、」

 ずるり、と何かが胸の上を這い回る感触。
 ヒクヒクと性器と秘孔が反応して、季は全てを思い出した。

 ジョギングの帰り道。サナトリウムを見上げて、戻る山道。
 謎の液体に四肢を絡め取られて、犯されて、あんなところやこんなところを刺激されまくって。
 こともあろうか、外で失禁させられ、イかされ、気を失った。

――まさ、か。

 そろりと薄い布団をめくる。
 衣服を全て剥ぎ取られた素肌に、透明な液体がぬるりと這っているのが、目に入った。

「ひッ――!」
「あーおはよう、起きた? こらナナ、寝てる間はやめろっつったろー」

 のんびりとした足取りで、白衣の男が部屋に入ってきた。
 ナナと呼ばれたらしい液体は、ずるずると季の躯からベッドへ降りた。季はすぐにそいつから距離を取る。

 だがもう、じくじくと躯の芯が火照る。

 男は季の異変に気付く様子もなく、平然と持ってきた青色の衣服をベッドサイドに置いた。

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