I want...

08


 ワイズは体勢を変えて愛おしい天使を抱き締めた。
 腹の中の渦巻く嫉妬心と独占欲だけは燻り続けている。

「彼奴との交合は悦かったか?」
「ッ…っ! き、きもち、かった…」

 問いに目を見開き、かぶりを振ろうとしたクロウはしかし血の従属に抗えず、歯を食い縛りながらも肯定の言葉を吐いた。

 ぶちりと、何かが切れる音がどこかで聞こえた。

「クロウ…」
「ッん、ふ…、」

 優しく舌を絡めるキスをして、冷ややかに告げる。


「『私が許すまで、気を失うな』」


「…はっ…? ぁ…?」





「あッぁッ、はっ、はあッ…! ぁっ、ぁあッ!」

 ぐちゅっ、ぐちゅっ、と熱い粘膜が牡に絡み付き、搾る。


 クロウの腰は止む事なく痙攣し続け、開きっぱなしの唇からは銀糸が垂れる。

 狼には難しいであろう正常位でとっくり愛しい天使の顔を眺めながら深く長く繋がり、交わる。

「ッは、っあ、ぁっ、ゃ、そこっ、やぁ…ッ!」

 秘所を抉るように突き上げる事でクロウの花芯は強制的に蜜を溢れさせ、子供のように泣きじゃくりながら勢いなく射精を繰り返した。

 お陰で青い瞳は完全に色欲に蕩け、桃色の唇からは紅い舌が誘うようにちらちらと覗き、淫肉を擦る度に細い腰が卑猥に揺れた。

 ぷっくりとピンク色に膨れた胸の粒が白い肌の上で、むずむずと刺激を欲しがって震えている。


「きも…ちぃ…、はぁっ…はぁっ…ッひく、っふ、…きもち、ぃ…」


 何度目の絶頂か分からないくらいにイかせ続けた所為でクロウは血の従属に抗う事もできず、抽送に合わせてぷるんぷるんと力なく花芯を揺らしながら喘ぐ。

 日付はとうに変わり、普段の彼ならとうに失神しているだろう時間だ。
 完全に理性が吹き飛んでいる。

 虚ろになった瞳を覗き込む。

「…クロウ…」
「は…っ、ぁっぁっ…、は…っ? ぁっ、あ」

 肢体には力が入らず、ワイズに抱かれるがままの美しい青年。何度犯しても処女の如き甘い血の。


 …愛している。

 クロウしか要らない。
 永遠に離さない。


(…クロウを吸血鬼にすれば)


 『永遠』は現実となる。


 だが、それではワイズとクロウにまたそれぞれ獲物が必要になる。ワイズはクロウの血以外飲む気はないし、クロウが別の存在の首筋に噛み付き吸い上げる姿など見たくもない。

 他の誰にも触れて欲しくない。
 他の誰の目にも触れさせたくない。

「…」
「ッはぁ…っ、ぁ、っん…っ! ぁ、ゃだ…。ぁんッ! ぁっ」

 長く太い牡を再びゆっくりと熱い襞を掻き分け最奥まで進める。

 何度天使のナカに種付けしたか分からない。オンナのようにぐちょぐちょと濡れた音がする。獣の体液はすべて掻き出した。


「私以外の者が君に触れようとしたら必ず私を呼べ、いいな」
「ぁっア…ッ、ぁん、ぁ…ッんっ、んッ」


 枕に両手でしがみつき、薄い胸を激しく上下させながらこくこくとクロウは頷く。本心なのかはワイズには分からない。

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