僕らの長い夏休み

02


 浅緋の声が急に遠のいて、驚いて振り返ったら浅緋の躯が蔓で攫われて、御神木の幹のところに吊り上げられていた。

 その蔓も僕の蔓も、もちろん御神木から伸びていた。

 ずるずるっと蔓が僕の脚を這い上がって来て、ハーフパンツの内側に潜って来る。気持ち悪くて怖くて、引き剥がそうとした僕の腕も蔓に捕まって、腰にも蔓が巻き付いて。
 僕の躯も、浅緋の前に運ばれてしまう。


「やだ、雛兄ちゃんどうしよ…! 御神木さまに食べられちゃう…!」
「ッ木は人を食べない! 大丈夫だからっ…!」


 パニックで泣きそうな浅緋を必死で励ましながら、僕も夢中で考える。木。ゲームだったら火が効くのに、火なんかない。ずばっと切り倒せる剣や技も僕にはない。
 木は人を食べないけど、締め付けてダメージを与える事はある。このままぎゅうぎゅう締め付けられて、じわじわと弱らされたら…?

 ずるる、ずるる、とTシャツの中にも潜って来る蔓。こわい。でも浅緋を守らなきゃ。


「ぁさ、」
「ひんッ!? ぁ、っゃだ…っ、そこやだぁ…!」


 ビクッ! と浅緋の躯が跳ねたから、僕は目をまんまるにした。
 浅緋に絡みつく蔓は、もぞもぞと浅緋の短パンの中で動き回っていて、浅緋はもじもじとおしっこを我慢するみたいに太ももを擦り合わせる。

 なにが起きてるのか、僕にもすぐ分かった。僕のぱんつの中にも蔓が潜り込んできて、僕のちんちんに巻き付いてきたから。


「んぁッ…!」


 びりびりっ、て躯が痺れたみたいになって、よく分からないけど恥ずかしい声が出て、顔が真っ赤になった。

 浅緋はただ気持ち悪そうにしてるのに、なんだろう、すごく、すごく…気持ち、良かった。


「雛にぃちゃ…っ」
「!」


 目の前では、浅緋のタンクトップが蔓にめくり上げられて、細い蔓がそのおへそをくすぐったり、おっぱいの小さい先っぽをクリクリ弄ってるのが見えた。

 短パンのボタンとチャックも器用に開かれて、浅緋の白いぱんつの中にたくさんの蔓がうごうご入り込んでいるのが僕には丸見えになっていた。

 なんだか…えっちだった。


「雛兄ちゃんっ、こわいよぉ…!」


 ぐすぐす、浅緋が泣き始める声で、僕はハッとした。そうだよ、えっちとか、そんなこと言ってる場合じゃない。

 なんとか浅緋へ手を伸ばそうとしたとき、いきなり目の前にまた蔓が飛び出して来た。今、僕らを虐めてる蔓とは違うやつだ。
 先っぽにチューリップの蕾みたいな膨らみがある。

 そこを見つめた途端、それがぐぱぁ、と開いた。


「ッひ…!」


 こわい、と思ったのは、そのチューリップの内側にはびっしり小さい小さいイソギンチャクみたいなウネウネが生えていて、ねばねばした透明の液体がぼたぼたこぼれ落ちたから。
 そのチューリップが、浅緋の方へ行く。

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