淫妖奇譚 弐

10



「お、終ったぞ…ぁ、ぁう…は、早く…」
「判った」

 聞き分けの良い返事をすると、犬神は双葉の腰に前足を置き、


 ズッ…グチュッ!


「ひゃっああぁッ?! いっ嫌ッなんでっ…!」
「『早く動け』、ではないのか?」

 ハッハッハッ、と興奮した狗の吐息が耳をくすぐる。白々しい台詞に反論したいのだが、

「ば、莫迦ッ…ち、がっあぁあッ!」
「ああ、そう言えば2匹から護ってやったな。ならば2回の報酬をいただかんとな」
「いやぁあああ!」




 そうして再び激しい交合を始めた狗と人間を、天井や柱からいくつかの目がまた見守っていた。



「もっ、あぁッ、あッ、お前なんかッ! ぜ、絶対喚ばないッ! はぁ、ああんっ…!」



end.

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