淫妖奇譚

04



 舐めた。
 ふぐりを――まらを。

 べちゃ、べちゃ、べちゃッ

「ぁッ、ちょ、ッふ、くぅ…っ、ゃ、やめ…っ」

 ぞく、ぞく、と抗えない感覚が駆け上がって来る。

 ハッハッハッハッ、とすっかり興奮した狗の荒い吐息で、犬神は双葉の股間をねぶり続ける。
 ベロベロとふぐりを転がされて、訳が判らなくなってくる。

「ひぅ…っ、ぁ、あんっ! んッ、んぁ…っ! あぁっ、ゃ、ああんっ!」

 潤んだ視界に、衝立の向こうで茫然と座り、こちらを見ている髪の長い女が入る。
 あや。
 見るな、出て行けと言いたいのは山々だが、結界を破られるのは困るし、それ以前に声など、艶めいたものしか出せていない。

 舌が移動して、胸を舐める。狗の後ろ足が股間を踏みつけ、柔らかな肉球の感触に、双葉は悶える。

「ぁくぅッ…! ぅ、は、ぁ、あぁ、やめっ…、やめろぉ…ッ!」

 見られている。
 これ以上醜態を晒す訳には。

 しかし最早犬神に言葉を聞く余裕もないらしく、小さな胸の突起が溶けてなくなってしまうのではないかと思うほどに、夢中で舐め回している。
 その状況と、ちらちらと見える猛った犬神のまらに、双葉は恐くなる。

 命の危機なら、これまで何度も何度も体験してきた。
 だが、貞操の危機など。

 男なのに。
 しかも相手は、神とは言えど、狗。

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