ガマンできないっ

01



「…っ教科書…48ページ…開いて…」

 身動ぎするたびに、太く硬い玩具が肉を嬲る。
 躯は懸命に異物を押し出そうとするが、深く突き刺さった玩具は、しっかりベルトも締めた着衣状態では簡単に抜け落ちることも許されない。

 それに加えてもうひとつ、稔を苛む生理現象。

「…っ、ぅ…」

 もじ、と教壇の後ろで腿を擦り合わせる。下腹と股間にわだかまる感覚に、気が狂いそうだ。
 一番後ろの席でにやにや笑う姿を、稔は辛うじて睨みつけた。




「古場先生ってさ、結構性格悪いよね」

 保健室のベッドに寝そべったまま、サボリの生徒が言う。

「体調悪いって言ってる生徒を疑って保健室まで来ちゃうんだもんなぁ」
「教師なんてものを素直に信じていられる方が、疑うよりよほど幸せですよ。それに笠原君は、信じて欲しいならもう少し演技をしなさい」

「ほら、そんなこと言っちゃうしさ」
 にやにやと生徒──笠原が言う。

 彼は稔の授業である日本史の授業になると、必ず体調を崩す。
 そしてテストも、70点程度取れるであろうという範囲を記載したら残りは空欄。記載事項はすべて正解なのだから、きっと日本史が嫌いなわけではないのだろう。
 正直なところ、稔としてもきちんと点数を取るのであれば特に支障はない。

 ないが、教師として一応放っておくわけにもいかない。

 だから彼が休んだ4限目の授業が終ったあと初めて、こうして彼をおとなった。

「ねー古場せんせぇ。先生って3限目はなにしてんの」
「木曜日の? 授業はないので、準備してますよ」
「ふーん…。じゃあ来週さ、3限前の休み時間、ここに来てよ。そしたら俺、4限出る」

 保健室のベッドに肘枕をついた横柄な態度で、さながら帝かなにかのように言い付ける笠原に、稔はひとつ息を吐く。

「3限前に保健室に来て、どうなるんですか?」
「談義しよ。俺の知らないこと教えてもらえるって判ったら、授業出れると思うから」

 なら何故4限前ではいけないのか。
 それはそのまま稔に教室へ連れて行かれるのを避けるためだろう。見え透いた計略に、それでも稔は応じるしかない。

「…それは、なかなか難題ですね。判りました、知識を仕入れておきます」


- 252 -
[*前] | [次#]

『学校関連』目次へ / 品書へ


 
 
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -