既に駄目です

12


 後藤を、思いきり煽ってしまった。激しく突き上げられて、リングの所為で俺が射精できてないことも忘れられるくらいに。

 間断なく与えられる快感に、それでも俺は何度も空イきさせられ、後藤は何度も俺のナカに精を放った。





 ぐったりとふたりでソファに沈んで、けれど実は俺の熱はくすぶったまま。お陰で俺は起き上がりは出来ないものの、ようやく薬から脱却して、正気を取り戻した。

 手首にはくっきりと手錠の跡。ア○ルはじんじんするし、腰も痛い。

 後藤がだるそうに顔を上げて、俺の頬に手を触れる。
 ぼんやりと後藤を眺めていると、彼はふと微笑んだ。

「ねえ先生。…先生。どっちが、本当なの?」

 おそらく後藤は、俺がぶっ飛んだままだと思っているのだろう。答えを求める様子もなく、のそりと起き上がって処理を始める。


――どっちが、本当?


 事後の俺は、最中に言った台詞なんかは、なにひとつ覚えていない。だから後藤の言葉は、まるで理解できなかったのだけれど。
 離れた後藤の体温に思わず手を伸ばしかけたとき、俺は愕然とした。



 本当に欲しくなっているのは、どっちだろう。



――もう、駄目かもしれない。



end.

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