混濁

01


※橘×遊糸 (拘束/玩具/調教/挿入なし)

──何をしてるんだろう。

 ぼんやりとして現実味のない頭で、遊糸はひたすらそれだけを考える。

 結局遊糸の手淫では橘をイかせることは出来ず、お仕置きと称して後ろ手に手首を縛められ、うつぶせの状態から双丘だけを持ち上げた格好で放置されている。

 そろそろ床についた膝と肩と頬が痛いのだが、うつぶせに戻ることは禁止されている。
 ちなみに開いた脚を閉じることも許されていない。

 最初こそ恥ずかしくて死にたいような心境だったが、何をされるわけでもなく、裸と言えども自宅の室内だ。何より橘の性器に触れたりなんてしなくていいことが、遊糸にはありがたかった。

 だが。

 だからと言って、こんな体勢で、こんな格好で、いつまでも放置されていては適わない。そう思って手首の紐を捩るのだが、硬く結ばれたそれはびくともしない。

「お待たせ、遊糸」
「!」

 軽い足音を立てて、橘が現れた。
 なんとか顔を上げると、橘はダンボール箱をひとつ抱えていた。それほど大きなものではない。

 根拠もなく、嫌な予感がした。

 ダンボールを無造作に置くと、がちゃがちゃと音がする。橘は微笑みながら遊糸の双丘をするりと撫でた。

「ひッ…!」
「さあ遊糸、また父さんと気持ちイイことをしような…」

 ぞくっ。

 背筋に走った寒さに、遊糸は躯を震わせる。以前、そう言われて、されたのは。

「ゃ…ッ、た、たち、橘、さ…っ」

 無理に振り向いて橘を窺うと、奴はローションをとろりと掌に出しているところだった。戦慄が走る。

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