不可視の声

09




 ぢゅぷっ、


 最後の一滴まで注ぎ込んで、父の肉棒が蕾から引き抜かれると同時に、六花はベッドにくず折れた。びく…っ、びくっ…、と躯中の筋肉が不随意に痙攣する。

 全身に力が入らない。じんじんと疼く蕾から、ぷちゅ…と注ぎ込まれた白濁が溢れるのを感じた。
 足首を持ち上げて、父がそれを指摘する。

「こら遊糸。折角パパの白いおしっこをいっぱい注れてあげたのに、零しちゃだめだろう。きちんと全部飲みなさい」
「ん…っ、ご、ごめんなさぃ…」

 父の指が蕾を撫で回し、零れた白濁を掬って六花の口許へと運ぶ。急いで双丘に力を籠めて蕾を締めつつ差し出された父の指へしゃぶりつき、綺麗にした。

 うっとりとした眼で、父がそれを見つめる。ギラギラした瞳の中に、未だ燻る欲望があるのが六花には判った。
 何度かのインターバルを挟みながら、父は延々『遊糸』を苛み続けるつもりだ。


 イカレている。


「…遊糸…ああ…かわいい子だ…いやらしくはしたない淫らな私の息子…」
「ん…」


 愛おしげに、顔中にキスを降らされる。

 目尻が熱くなるのを意識の外に押し遣りながら、父の肩に腕を回し、六花は懸命に唇を開いて舌を差し出して甘くキスを受ける。
 頬を伝う熱い感触には、気付かないふりをして。



──父さん。

──僕の、名前は。





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