13/12/24 01:29
 折角のクリスマスなので。
 エロなし。
 繰り返す、エロはない!(`・ω・´)キリッ


 



「メリークリスマス、先生」

 終業式も終っているからと、奴の自宅に呼ばれて、玄関を開けるなり、これだ。
 本当に後藤はこういう、イベント事が大好きだ。

「…メリークリスマス、後藤」

 本当に、良くない。
 なにが良くないって、俺も後藤の家へ行くのに、少しずつ、慣れてきていることが。

 ついでに。

 後藤の機嫌を損ねないようにって、わざわざプレゼントなんか用意してしまっている、俺が。

「ほら」

 いつかのように玄関で押し倒されないように、素早く渡す。
 けれど後藤は、ぽかんとした。
 本当に、本当に、予想外だった、って顔で、立ち尽くす。

「…え」
「え、って」
「え、え、嘘」
「う、嘘じゃない、けど要らないなら返せ」
「うっううん! 要る! あっ、ありがと、先生…!」
「…」

 本当に。
 後藤は、思いがけず与えられる『好意』に、弱い。
 普段、どうでも良いようなところには散々策略張り巡らせている癖に、こういうところは、驚くほど、素直なままで。

(…くそっ、しっかりしろ青木啓介!)

 可愛いとか思ってはいけない。
 コイツにこれまでなにをされてきたか思い出せ! いや思い出すな俺!!
 極力平静を装いつつ靴を脱いで、そして実に普通に用意されていた食事を共にして。
 その間、後藤は俺が贈った時計(室内用! 持ち運ばれて言いふらされたら困る!)を、何度も嬉しそうに見ていた。

(…く、)

 ぐらぐら揺れる、俺。やばい。俺も、こういうのに、弱い。

「…そっ、それじゃ、俺はこれで」

 流される前に帰るしかない。思いがけずプレゼントまでもらったわけだし、今日くらいは、もしかしたら、

「帰る前にさ、…せんせ、キスして?」
「…え」
「おねがい」

 『帰る前に』ってことは、帰っていい、のか?
 いやいや、学習しろ俺。これは絶対罠だ。罠だ、判ってる。
 判ってる、が。これを拒絶したらまた酷い目に遭うのではないだろうか。
 ぐるぐる悩む俺を、ただ後藤は見上げてくる。いやいや、おかしいだろう。俺達別に付き合ってるわけじゃないし。でも、でも。

「…っ、」

 悩みに悩んで、俺は後藤の肩を軽く掴んで、そ、と触れるだけのキスをして。

「ッ!?」
 突然の脚払いに、視界が回った。

 ぼふ、と沈む先は、リビングのソファ。驚く隙に、にこ、と後藤が俺の腹の上にマウントポジション取って、笑う。

「たくさんくれてありがと、先生。すっごい嬉しい」
「そ、そうか、で、後藤、これは」
「うん。俺先生になにもあげてないから、お返し」
「い、いや、えっと」
「気持ち良くしたげるね? 先生、好きでしょ?」
「いッ、いやいや! 後藤! っく、ゥ」

 拒否しようとした途端、股間を揉みしだかれて喉が反った。その喉仏に、ちゅ、とキスを落とされる。

「大丈夫。もう少ししたら、うずうずしちゃって車なんて運転できなくなっちゃうから」
「ッ!? おまっ、まさか料理に…!?」
「俺からのプレゼントだよ」


 甘いだけの聖夜など、俺達にはやはり、望むべくもなかった。
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