11/05/30 01:38
 RPGネタwww
 魔法使い×勇者。
 微エロ。




 別に、元々なにかの力があったわけではないのに。
 16歳の誕生日、村の教会で俺は、顔見知りの神父から『神托』を受けた。
 曰く、「世界を脅かせし魔王を滅ぼす勇者である」と。
 ド田舎でモンスターの毛皮売りながらのらくら生きてきた俺に、いきなりそんな『運命』が降り懸かってきた。

 知らない、そんなの。
 魔王なんて、聞いたこともない。

「…神父さま、アタマ大丈夫?」

 親切で聞いた俺に、物凄い慈愛の目を向けて、けれど神父はしれっとこう続けた。

「伝説の勇者よ。背を預け共に魔王へ挑みし仲間を見付けて、必ずや魔王を倒し、世界に平和を取り戻したまえ」

 そして俺は、聞いたこともない『伝説』の勇者として、聞いたこともない『魔王』から、奪われているとは到底思えない『平和』を取り戻す旅へと、追い出されてしまった。

 与えられたのは、古めかしい装飾の大剣と、少しばかりの食料。
 俺に使えるのは、モンスターを焼いて食べる用のちゃちな炎魔法だけだ。
 旅に出て、すぐに気付いた。俺、このままじゃ死ぬ、と。

 狩りに出て何回かは野宿もしたが、数日で帰る予定のそれとは違い、まるで村を出たこともない俺が、アテもなく広い世界を行くのだ。おちおち眠れないし、眠っても浅いからか体力が回復しない。

 せめて回復魔法の使える識者が要る。

 そう切実に感じた俺は、なんとか王都を目指した。途中の村や街で、王都の外れに偏屈だが非常に有能な魔法使いがいると聞いたから。
 モンスターを狩り、その毛皮を売って宿屋に泊まるという、実にいつも通りの方法で──勇者だ、とは、何故か判ってもらえるのだが、オマケや優遇はしてくれない──なんとか俺は王都にたどり着き、魔法使いの住むという小屋の戸を叩いた。

「こんにちはー魔法使いさんいますかー勇者ですー仲間になってもらえませんかー」

 完全にヤケだ。
 しかし、扉が開いて、そして思いがけず若いひょろ長い男が、俺を見下ろして紫色の瞳を真ん丸にした。
 まだ20代半ばじゃないだろうか。深い紫のローブと折れたとんがり帽はいかにもだが、くすんだ金の装飾が厭味じゃない程度にあしらわれていて、どこか品がある。長い銀色の髪は緩くひとつの三つ編みに。

「…あなたが、勇者さま?」
「そうじゃないって言ってくれるなら、どれだけありがたいか」

 溜息をひとつ。
 さすがに判っている。どれだけ隠しても否定しても、何故かバレるのだ。普通の旅装なのに。大剣の所為かと隠して見てもダメだった。

「いえ。判ります…そうか、あなたが勇者さまなのですね」

 案の定、魔法使いは呆然とそう呟いた。
 それから、妙に瞳をキラキラさせて、俺の手を取る。

「それで、勇者さまは私を供にと?」
「え。う、うん…良ければ」

 正直、魔王なんて得体の知れないものを倒しに行く旅なんて、誰もが嫌がると思ってたから、この食いつきには驚いた。
 目を白黒させる俺の、今度か肩を掴んで、魔法使いはにこりと言った。

「では、契約の証をお願いします」
「…け、契約の証?」

 そんなものが要るなんて聞いてない。金か、一筆かと戸惑う俺の前に、魔法使いはそっとひざまづいた。

「勇者さまの口づけですよ」
「…は?」
「おや、ご存知ないですか? 魔法使いは、契約した勇者さまから魔力の素をいただいて魔法を捧げます。その最初の契約は、口づけですよ」
「どこに?」
「もちろん、唇に」
「……」

 嘘だろ。そう言いたかったけれど、なにも知らない田舎者だと思われるのも嫌だった。
 でも、嫌なものは嫌だ。俺はゲイじゃない。
 少し悩んで、俺は頷いた。

「うん。じゃ、女の魔法使い探します」

「女性の魔法使いは基本的に王族貴族の召し抱えですよ。魔力が強いですからね」
「…じゃ、王様に頼む」
「王族がおいそれとお会いして下さるとお思いで?」

 勇者だと言えばなんとか──なりそうにないな、宿屋さえまけてくれないんだ。

「でも俺、弱い魔法使い、要らないし」
「私のこと、使えると聞いて探して下さったのでしょう?」

 クスクスと笑われて、図星なだけになにも言えなくなる。それでも躊躇う俺に、魔法使いは上目遣いに伺ってきた。

「おや、もしかして勇者さまは、口づけひとつに困っておられますか?」
「っ!」
「純情な方ですね。王都では性別など関係なく、親愛の証として口づけくらい挨拶のように横行しておりますよ?」
「?! し、知ってるよ!」

 知るはずがない。
 でも──そう、なのか?

 なら。

「…わ、判った、あんたと契約、する」
「光栄です。私と契約したあとは、誰とも口づけしないで下さいね。魔力が分散してしまいますから」
「わ、判ってるよ!」

 ちょっとほっとした。
 口づけなんて、ほら、犬にするみたいな気持ちですればいいんだ。
 目をつむらせ、唇をほんの少しだけ触れさせ、

「ッ?! ッな、んむっ、ン、」

 た、途端に、ガバッと頭を抱え込まれ、驚いた隙に長い舌がヌルリと俺の咥内に侵入し、舌を嬲って口の中をくちゃくちゃ音が鳴るほど掻き混ぜた。

「ふぅ…ッ、ん、ァ、んむっ、んっ」

 こくん、と喉が動く。飲みきれない唾液が口角から伝い落ちて、俺はその激しい舌技にすっかり翻弄されてしまった。なにせ、経験値が足りな過ぎる。こいつ、レベルどれくらいなんだろう。

 空気が足りなくなって頭がくらくらして、脚がガクガクして立っていられなくなった俺が魔法使いのローブに縋ると、魔法使いはひょいと俺を抱き上げて、小屋の中に引き戻した。
 そして下ろされたのは、簡素なベッド。

「ぁふ、ぅ…? わッ、ちょッ?!」

 慌てたのは、いきなり魔法使いが俺の腰紐を解いて、下衣を脱がせようとしてきたから。
 急いでその腕を掴んで止めた俺に、にこりと魔法使いは笑う。

「恥ずかしがらないで下さい。魔力の素をいただくだけですよ」
「ま、ま、魔力の素って…?」
「ココから、白いねばねばの液体が出るでしょう?」

 股間を優しくさすられて、一気に俺の体温が上がる。

「でッ出るけどッ! それは子供作るもんであって魔力は関係ッ──」
「ありますよ。子供とはつまり生命ですから。我々魔法使いは、表立っては当然言いませんが、こうして契約を交わした相手からだけ、魔力の素をいただくんです」
「そ──」

 なにも言えなかった。

 にこにこ笑ったまま、魔法使いは俺のアレを取り出し、勃っていないそれを、骨張った指で丁寧に擦った。

「…、ん…」

 次第に少しずつ指に力が加わり、皮を上下させて扱かれる。

「…っ、は…、はぁ…っ」

 その頃には俺のアレはだいぶ硬くそそり立ち、くり、と指先で先を擦られると、ぬるッとした感覚と供に、

「ッあ、」

 ゾクゾクっ、と快感が走った。
 変な声を出してしまったことが恥ずかしくて、俺は急いで両手で口を塞ぐ。ちらりと魔法使いはそれを見上げて、またシコシコとアレを扱く。
 時折先っぽを弄られるたびに躯が跳ねて、その内ヌルヌルが全体に広がって、腕が上下する度にちゅく、ぬちゅっ、といやらしい音が室内に響く。

 恥ずかしくて泣きたい俺に構わず、魔法使いはせっせと俺を追い詰めるから、俺はベッドに倒れて膝から下だけ床に下ろし、股の間に魔法使いがいる所為ではしたなく恥ずかしい場所を晒した状態で、小さく熱い息を吐き続けた。

「は…、ァ、だめ、でる…でちゃ…ッ」

 悔しい、恥ずかしい、情けない。
 男にアレを扱かれて達するなんて。

 そうは思うが、耐えられなかった。だって、ひとにアレを触られるなんて、初めてだし。
 ふるふる震える俺に、けれど魔法使いは更に追い討ちをかけた。

「ぅあッ?! ゃ、嘘、やめ、汚いっ…!」

 アレがあったかくてよりヌルヌルするものに包まれたのに驚いて見下ろすと、俺のアレはすっぽり魔法使いの口にくわえ込まれていて。
 ぢう、と頬をすぼめて吸い上げられた途端、舌でれろれろと先の筋を刺激されて、

「ッきゅぅ──」

 俺は頭が真っ白になって、全身を強張らせ、それからくたりと弛緩した。
 魔法使いは喉を動かし、唇に垂れた白濁を、紅い舌で舐め取った。

「さすがは伝説の勇者さまの魔力ですね。とっても良質で、おいしいですよ」
「っふ、く…」

 おいしい訳がない、あんなの。飲んだことなんかないけど。絶対マズい。
 でも、魔王を倒すのに必要なら、1回くらい──。

 俺の思考でも読めるのか、「そうそう」魔法使いは笑顔で手を叩いた。

「これからは道中、できれば毎晩、魔力を下さいね。日中はその魔力を魔法にして、様々な場面から勇者さまをお守りすると誓いますよ」
「ま、毎晩…?!」
「もちろんです。私は朝でも構いませんが、勇者さまが疲れてしまうでしょう?」
「……」

 声が出ない。
 魔王を倒すまで、思っていたよりも大変そうな道中に眩暈を覚えてながら、それでもなんとか、魔法使いを仲間にできたことに安堵して──ついでに疲れて──、俺はそのまま眠りに落ちた。
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