「でもアリスは可愛いよ。
お人形さんみたい。」
へんな慰めはやめてくださいセリアさん。
「またまた、思ってもないことを。
でも、私もレイシーさん見たとき思いました。
青い目のお人形さんだなって。」
「青い目のお人形?」
レイシーさんが首をかしげる。
「日本に初めて外国の人形がきたときに青い目のお人形って話題になったんです。
日本人の目はみんな茶色だから。」
なるほど、とレイシーさんは頷く。
「私たち全く違う色をしているのね。
アリスさんは黒と茶、セリアは銀と紫。
私が金と青。」
私たちは互いを見る。
確かに色の系統が違う。
「それは当たり前です。
私たちはより沢山の[アリス]を集めなければいけないのだから」
帽子屋がクスリと笑って赤い目を細める。
「そういえば、私たちはなんで白うさぎ狩りをしているんですかね。
気づいたらこっちにいたんですけど。」
私の問いにレイシーさんとセリアさんは顔を見合わせる。
「私たちの目的は…」
レイシーさんが口を開いた瞬間、爆発音があたりに響いた。
とっさに空を見上げれば空いっぱいにあげられた花火。
「…The Queen of Heart , 1st ――」
ポツリ、と呟いて苦しそうに顔を歪めるレイシーさん。
花火に紛れて高らかな女性の歌声がかすかに聞こえる。
「…ハートの、女王……?」
「私たちが最後に辿り着く倒すべき敵」
セリアさんが続ける。
ぎりり、と手を握りしめて。
「そして、」
一際大きい花火が打ち上がる。
私は二人から目を離せない。
「「夢に破れたアリスのなれの果て。」」
「……それってやっぱり魔じ…」
「…そろそろ黙ろうな。その思考回路どうにかしろ。」
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