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自分で脱げるもんinおそ松さん



リクエスト:「自分で脱げるもん」を六つ子で

case.おそ松

「自分で脱ぐから待って……!」
言われて思わず手を止めたけれど、彼女の顔は一目でわかるほどに火照っていて、任せてしまうとかなりのお預けをくらいそうだと察した。
それでも一応、相手の意思を尊重しているふりをして身体を離す。あぐらをかいて、その上に肘を置いて頬杖をつき、「じゃ、どうぞ?」とあっさり引き下がってみせた。案の定、彼女はもじもじするばかりでなかなか動けずにいる。
「三分経過ー」
おそ松の笑い方は意地が悪そうだと、以前言われたことを思い出した。泣きそうな目でこちらを見る彼女にグッときたので、俺はますます追い打ちをかけるべく口のはしを吊り上げる。
「言っとくけど、待たせれば待たせるほど、後が辛いのはなまえだからね。わかってる?」



case.カラ松

体を密着させて話をしているうちに、だんだん気分が高揚してくる。カラ松も同じだったみたいで、頬が赤らんでいる。どちらともなくキスをして、後頭部を支えられたまま寝かしつけられた。
「背中痛くないか?」
「大丈夫だよー」
「君には赤子のように、俺の腕の中で幸福と安堵だけ感じていてほしい」
慎重すぎるほどにいたわられて、思わず笑ってしまった。頭を布団につけてからふと気づく。今日は背中にチャックのある服を着てきたのだった。
前ボタンの服が多いので、カラ松は少し驚いたような顔をしていた。一度寝かしつけた手前、私の体を裏返すのが恥ずかしいようで、布団と背中の隙間にそっと手を差し込む。しかしチャックがうまく下げられず、手は何度も上へ下へと行き来していた。
「フフ……なまえの背中は天使の羽が生えているようだな」
手探り状態なのを隠したいのか、妙なことを口走るけれど、そのセリフもいつも以上にキレが悪い。おかしくなって、ふふと笑うと、目の前のカラ松の耳が赤くなった。
やっとチャックが開いた。二人して安堵の息をついたものの、今度はその下のブラのホックにてこずっているようで、カラ松の口数はだんだん少なくなっていった。
「私、自分で脱ごうか?」
彼の肩につかまって、上半身を起こそうとすると、ぐっと抑え込まれた。思いのほか真剣な目にのぞき込まれて、ドキッとする。
「これは男の務めだ。なまえはただ、身を委ねていてほしい」
「……分かった」
だけどこれだけはとつぶやいて、ずっと目の前でちらついてた彼の耳にキスをした。びっくりしたのか、一瞬のけぞったカラ松は、本当に真っ赤な顔になって、目をまんまるにしていた。



case.チョロ松

「ごめん、待って」
伸ばした手をやんわりと止められ、ドキッとする。何か手順が間違ってただろうか。がっつきすぎてひかれたのだろうか。固まったまま動けずにいると、彼女は俺の心境を見抜いたように、優しく笑って見せた。
「この服、ちょっと脱ぎ方が複雑なの。だから私、自分でやるよ?」
「えっ、あ、ありがとう……わぁっ」
言うや否やするすると服をはだけさせていく彼女に、情けなくも上ずった声が出る。彼女に呆れられたんじゃないか。不安の中、正座でうつむき息を潜めていたら、すっかり服を脱いだなまえちゃんに抱きつかれて、思考回路が弾け飛んだ。
「チョロ松くんのも脱がせてあげようか?」
そう言ってシャツに手をかける彼女が浮かべたのは、いつもと同じ優しい微笑のはずなのに、どんなAVよりいやらしく見え、体の芯がますます熱を持ったのだった。



case.一松

「じ……自分で脱ぐから」
「……あぁ、そう」
緊張のせいか不愛想な態度の彼女に、もやもやした感情を抱いた。手持無沙汰になって、膝立ちのまま待つが、お預けを食らった犬のような自分がまた腹立たしい。いつまでも踏ん切りがつかず、もじもじしている彼女に、とうとうはっきりとした苛立ちを覚えた。
「あのさ、いつまで待たせる気してるの」
低い声にびくりと肩をはねさせる。だんだんとうつむく彼女に、失敗したと内心舌を打つ。ここで泣かれでもしたら本当に最後まで致せなくなる。それだけはごめんだった。
「なまえ」
できるだけやわらかい音を意識したら、彼女が恐々顔をあげる。そこで頭を抑え込んで、不意をついて唇を奪った。正しいやり方なんてしらないので、めちゃくちゃに、欲のままにむさぼるようなキスをする。彼女の意識がそれに向き、力だが緩んだのを確認して、ゆっくりベッドに押し倒す。ようやくブラウスのボタンが三つめまで外されていることに気づいたらしく、「一松、じ、自分で……」と言いかけた唇を、軽く噛む。
「もう無理、待たない」
彼女が、羞恥のせいか唇を結んだ。やがて諦めたのか、触れていて感じる程度に脱力する。
「……分かった、ごめんなさい。だけど一松、優しく脱がしてね……?」
小首をかしげてうかがうようにした彼女に、心臓がどくりと脈打つ。くそ、と吐き捨ててまた口づける。ボタンを外す指が、熱く、しびれそうになる。
なまえめ。一発じゃ済まさない。



case.十四松

「待って!じ、自分で――」
「そのままでいいよ?」
十四松の肩を押し返そうとした手は握りこまれた。たやすく一つにまとめられ、彼は空いている方の手で、スカートの中へ探るように滑り込ませる。
「やだ、脱ぐから。お願い、脱がせて」
「ん?どっち?脱ぐの?脱がせてほしいの?」
「どっちでもいいから――」
「じゃあ脱がないでやろうよ!!ぜってー楽しいよ!!」
言うと同時にチャックだけおろした彼が、のしかかってきた。右脚を持ち上げられて、はだけたスカートが肌をなぞる。蛍光灯の影を背負った十四松の表情に、ぞくりと背筋を震わせた。



case.トド松

「あのね、自分で脱いでもいいかな……?」
「えー、なんで?」
「な、なんでも!だから、ちょっとあっち向いてて?」
隠されるとかえって気になるのが人の心というものだ。僕は一度背中を向けて座り――背後で動き始める気配を確認してから、肩越しに彼女を盗み見た。
彼女も背中を向けて座っていたので、僕が見ていることにまったく気づいていない。慎重に服の中で下着を外す姿は、小、中学生の時、女子が器用に肌を晒すまいと着替えていた姿を彷彿とさせた。
「ねーえ、なまえちゃん」
「……っ!」
辛抱たまらなくなって背後から抱き着くと、驚きに声もでないようで、肩をすくめた。
「何をそんなに隠してるの?僕、なまえちゃんの全部が見たいなぁ」
彼女の肩に顎をのせて、のぞき込むと、、真っ赤な顔でぎゅっと目を閉じていた。
「と、トド松くんのバカ……」
「え〜?」
「きょ、今日、下着が上下そろってないんだもん……見られたくなかったのに……」
「え?あ、ほんとだ!」
彼女が必死で何を隠そうとしていたかを理解し――理解すると同時に愛しさがこみ上げる。
「そんなこと気にしてたの?なまえちゃんは何着てたってかわいいんだからさ、気にしなくていいのに」
背後から首筋をなめ上げ、前に回した手を脱ぎかけの衣服の中に滑り込ませる。
僕、女の子の服を脱がせるの好きなんだよね。だから、この役目はやっぱり譲れないな。

151212