妄想の墓場 | ナノ
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カルマ君は浮気性



カルマの言葉を借りるなら、彼は私を殺そうとしている。
私が信頼できるに値する存在か知りたくて、だけどそれを知る術がなくて、試すように何度も私を殺しに来る。
「ごめん、もう二度としないから」
甘ったるい、女物の香水の匂いをさせて、悪びれもなく言う。もう何度となく聞いたその言葉に、効力がないことは分かっていた。だけど私は、自分が試されていることを知っているから、「分かった。大丈夫」と心ない言葉を繰り返す。とんだ茶番だった。
浮気をされて、傷つく被害者。それを慰める、優しい加害者。カルマは私をそっと抱きしめる。さっきまで、他の女の子を抱いていた腕で、壊れ物を包むように、慎重に。あの子のことは、つぶしてしまいそうなほどの勢いで、抱きしめていた。どちらが彼にとっての大切な者への扱いなのかはわからない。それでも私は、本当は息ができないほどに、強い力で抱きしめて欲しいと願っていた。
「なまえ、愛してる」
意味を持たない音だけが、吹き込まれるように鼓膜を揺らす。私の背中をすべって、下着のホックを外そうとする手を感じながら、いつも通りの流れだと、意識の外で考えた。
私は生きなければならない。与えられる信頼と期待に応え続けなければならない。カルマに絶望を与えてはいけない。
唇が重なり、すぐに舌を差し込まれた。私はまぶたを閉じる。繰り返される、誰が犯したかも分からない罪を、受け入れる。

150315

殺せんせーに会う前、大野に絶望した後。