一撃男 | ナノ


▼ 俺の周辺人物について考えてみた

七面鳥の蒸し焼き娘のくれた殺虫剤を片手に、俺は蚊を追いかけていた

噴射し続けていたら口に入った

今すぐ吐き出さなければと吐いていたら、なんか男がいた

上の方を向いてみると、なんか黒い集団がブンブン音を鳴らして飛んでた

やがて、それが蚊の集団だと教えられる

「やべぇじゃん、早く逃げようぜ」

これ一本じゃぜってぇ足んねぇよ殺虫剤

なんて考えてたら、蚊の集団がこっちに向かってきた

どうすっかななんて考えてたら、なにか光ったと思えばあたり一面燃えた、俺の服も燃えたがそれ以前に

「すげぇな、おまえ。これが本当の蚊取り閃光…なんっつってな」

反応のないその男を見ると、説明することにした

おやじギャグじゃねーよ?そんなおやじみたいなことしないよ?これはなんつーか、その…とか心の中で弁解してると高い女の声がした

なんか男は一方的に殴られていたが、ああ…アイツが蚊の親玉か

そういや、蚊ってメスしか血すわねぇーんだったな

「蚊うぜぇ」

とりあえず、これで子分の蚊も少しは黙るだろう

さて、帰るかと歩き出す俺に待ったの声がかかった

「ぜひ名前を教えてほしい!」

「あ…サイタマだけど」

「弟子にしていただきたい!」

「あ、うん……………え?」


その後は住所を聞かれ家に行くとまで言われたが、なんかしつこいし
本気じゃないだろうと思い教えることにした。

さっさと着替えたかったし


帰るとちょうど階段のところで七面鳥の蒸し焼き娘と会った
なんつーかコイツ、俺の全裸見て悲鳴一つ上げねぇところみるとホント可愛くねぇなと思えた

「おまえ、女なら悲鳴ぐらい上げた方がいいぞ」

「サイタマさんが貧乏でなければ訴えて慰謝料がっぽり貰うんですけどね」

「あ、すんませんした」


やべぇよ、俺いま訴えられでもしたら間違いなく負ける

そして、慰謝料とか無理だよ!俺貯金ほぼねぇし!

そういやと殺虫剤が燃えて灰になった事を伝えるとあきれ顔で許してくれた

部屋に戻ろうと再び階段を上がり始めたら、突然彼女が俺に友達はいないのかと聞いてきた

「んだよ、その質問は」

「だって誰も訪ねてこないじゃないですか、サイタマさんの部屋」

「はぁ、おまえんとこも誰もこねぇだろ!」

「私はときどき友達の家に泊まりに行ってるんですよね」

と言われた、ときどき深夜になっても下の階に明りがないことを思い出し、そういう事だったのかと思い出す

「この地区、友達も来たがらないんですよね」

たしかに、別の市に住んでるんならここには来ねぇだろうなと思った

「ダチぐらい…いるっつーの」

「…本当に?」

怪しまれた、学生時代のダチとか…たぶん、連絡すれば…たぶん、繋がる

たぶん…友達、だよな


あれ、俺もしかしてぼっちじゃね…?

ヒーローって、こんなに寂しいものだったっけ?

なんて自問自答していると、彼女から声をかけてきた

「なら、よかった…今度鍋にしようと思ったんですけど、サイタマさん友達いるならその方らとしてください」

それじゃ、とだけ言い残して彼女はそそさく下の階に下りて行った

エコバックを持っているあたり、買い物なんだろう…鍋の

がくりと俺はうなだれた

俺は、最大の転機を見逃したのかもしれない

くそったれぇ!鍋食いてぇ!






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