一撃男 | ナノ


▼ 重なる日は重なるもの

「では、今夜七時頃に先生の家でお願いします」

「はい、ではまた夜に」


通話をしていた相手は電話を切る、俺も同じく電話を閉じた

いつも通り先生と共に過ごしていたら

先生がいきなり「昆布残ってるし、鍋でもするか」と提案された


俺はすぐさまその素晴らしい提案にのる



「あー…七面鳥の蒸し焼き娘にも言っておかないとな」


七面鳥の蒸し焼き娘さんにもお声をかけるのですね、その心配りさすがです先生!

俺は先生に遅れをとらぬように、さっそく彼女に電話をした次第、

彼女は快諾をしてくれて、何か具材を買ってきてくれるとの言い

俺は、それを先生に伝えた




「しかし、今日中には片付けてぇな…昆布」

「はい」

「ところで、おまえなにやってんの」

「先生の素晴らしい功績を見ています」


ノートパソコンを開き、さっそく先生のヒーローランキングを

チェックする

どうやら変化があったようで順位が上がっていた


「サイタマ先生の順位が最下位の388位から342位に上がってます」

「……あれで上がったんだ」


先生の雄姿を見れなかったのは、残念ではあるが

最終的に先生のランキングが上がり俺も嬉しくなる


「一週間経ったけどジェノスは何かやったの?」

「いえ俺はまだ何も…だから実力ランクはS級の最下位の17位です」


弟子としては不甲斐ないかぎりだ、先生が誇れるような弟子にならなくては


「でも一般人による投票で作られる週間ランキングだと6位になってます」


俺は先生に喜んでもらいたく、先生にわかりやすく詳細を伝えた

サイタマ先生は俺の方をじっと見ている


「お前自分で言ってて恥ずかしくないのか?」


俺に気を使って下さっているのか、ならば俺も先生にお答えしなくては

そう思い、先生に俺の見解をお伝えしたが、お世辞という言葉で流されてしまった



「あ、そうだ、ジェノス」

「はい、なんでしょう先生」

「七面鳥の蒸し焼き娘に肉も買っておけって伝えてもらえるか」

「わかりました」


伝言を頼まれ、すぐさまメッセージを七面鳥の蒸し焼き娘さんに送る

少しすると返事が返ってきた


「先生、七面鳥の蒸し焼き娘さんが『割り勘』だそうです」

「…わかった」

先生が了承したことを再度伝え、俺は先生の方を見やる

表情からして少し不満気だ


「あいつさー…なんか、俺に厳しくなった」

「厳しくですか」

「おう、この間は野菜食え食えうるせーし」


先生が言うには、いろいろと制限されてたり

合格セミナーと新人狩りされた話をした時は「サイタマさんが悪いです」

と一刀両断されたそうですが、七面鳥の蒸し焼き娘さんなりの理由があってのことだと

俺が思っていると「座り方とガムが悪いんだとよー…めんどくせぇな」

なるほど、確かに普通の会社面接で、そのような行いをした場合

落ちる確率が、かなり高いと、どのサイトにも記されている




先生ともなれば何ら問題のないように思えるが

一般社会で暮らしている彼女なりの心配なのだろう



「きっと、七面鳥の蒸し焼き娘さんなりの考えあってのことだと俺は思います」

「…まー、わかってるけど親かよって言いたくなる」

「俺には、いつもの惚気話にしか聞こえませんでした」

「は?!ちょっと、待て…『いつもの』ってなんだ!」


電話が鳴った、俺は電話を後回しにしようと思ったが、

協会からの電話だ

どうせ今後回しにしたところで、またかけなおされるであろう

何より、俺がここで電話を取り損ねた事により先生に迷惑をおかけしないかが

問題であるため、俺は電話を受け取り協会に緊急招集として呼び出された



「先生…なぜだかいきなりヒーロー協会に呼び出されたので」


先生はすっかり落ち着いていた


「ちょっと行ってきます」

「おう、クビだったりしてな ハハ…」


ご安心ください先生、先生の愛弟子という座は誰にも渡しません



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