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02


日向からの「この人覚えてるか?」というメッセージに添付されていたURLを開くと、孤爪さんのゲーム配信ページだった。何を言ってるんだコイツはと思ったが、ワイプに映る孤爪さんの後ろからスッと現れた人物がテーブルにマグカップを置いた。

〈コップここ置くよ〉
〈ありがと…それより普通に映ってるけど良いの?〉
〈え?あー、まぁいいや〉
〈なら良いけど〉

「は!?名前さん!?」

スマホを手にしたまま立ち上がってしまった。その人は、極度のものぐさ気質だがなんだかんだ優しくて面倒見が良い彼だった。予想外、いや、予想外でもないか…?ただ、思ってもない人物だったことは確かだ。日向と一緒にに合宿前のテスト勉強を手伝ってもらったこともある。

日向に返信をしてから、連絡先一覧から名前さんを探し出す。確か、卒業してから全然連絡を取っていない。もしかして連絡先が変わっていたりするだろうか。

〈コメントが盛り上がってるよ〉
〈へえ、なんて?〉
〈そのイケメン何者?だって〉
〈 どうも、コヅケンの友人の一般人です〉
〈一般人……昨日出たやつも言えば〉
〈あぁ、写真集発売中です〉

そう言ってゆるっと退室した名前さん。写真集?写真集ってなんだ。今何をやってるんだ。及川さん達とはまだ交流があるのだろうか。等々、色々と疑問が生まれてしまったため、直接本人に聞いた方が早いだろうと思い半ばヤケクソで名前さんに"お久しぶりです"と一言メッセージを送った。

ー♪

「うおっ!」

それから数分後、着信があった。画面には「名前さん」と表示されている。

「も、もしもし」
〈あ!飛雄?久しぶり〉
「うす、お久しぶりです」
〈なにかあったの?元気?〉
「あ、いや、元気なんすけど……孤爪さんの配信で見掛けて」
〈あぁ……ていうか飛雄もああいう配信見たりするんだ〉
「日向が連絡してくれたんです」
〈日向くん!〉

俺のこと覚えててくれてるんだーと嬉しそうに笑う名前さん。昔からだが、名前さんは己を目立たない存在だとどこかで思っている節がある。同じ学校に通ったのは中学の一瞬だけだったが、彼が目立たないなんてことは決してないと思う。

〈飛雄とこうやって話すのは本当に久しぶりだな。試合は見るだけだからさぁ〉
「それはそうすけど……試合?」
〈実はたまに飛雄の試合観に行ってたりするんだよね、俺〉
「…………え、は!?」
〈今度サイン貰いに行こうかな〉
「いや、あの、それは良いけど駄目っすよ!」
〈どっち?〉

電話の向こうで懐かしい笑い声がする。色々聞きたいことがあったが、それ以上に別角度からの新情報が舞い込んで来てそれどころではなくなった。

名前さんはそんな俺の様子に気付いたのか、週末に飯でも食いに行こうと提案してくれた。ちょうどスケジュールも空いていたので、断る理由はなかった。


220211
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