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全校集会で文化祭と球技大会の表彰式が行われた。文化祭では売上、客数などなどで優勝。球技大会では総合部門3位。ステージ上で表彰状と景品を受け取った委員長は至極満足そうだった。
「今年は好成績だったよね」
「うん」
〈続きまして、文化祭で行われたミスコンの表彰です〉
「あ、名前ちゃんじゃない?」
「ん?」
〈優勝者、田中小百合、名字名前〉
なんのことだっけ、そんな名前ちゃんを他所に、読み上げられる優勝者の名前。
「んげ、」
「ほら、やっぱり名前ちゃん!ステージまで来いって!」
「えー…」
「名前ちゃんの晴れ舞台、しっかりムービーに収めるね」
渋る名前ちゃんの背中を押していると、迎えに来た服飾部の田中さんが名前ちゃんを笑顔で引っ張って行った。ステージに立つ名前ちゃんなんて高校で見られるとは想ってなかったから少し嬉しくて、懐かしい。表彰状を受け取る名前ちゃんをしっかりとカメラに収めていると、
「はぁ!?」
田中さんが、名前ちゃんの頬にちゅーした!は?意味わかんないですけど!ステージ近くでは盛り上がっているが、体育館の後側に並ぶ三年生は主に俺の声にビビってる。ごめん。それから表彰式は滞りなく行われて、戻ってきた名前ちゃんと教室へ向かう。
「及川、どうかした?」
「どうかしたレベルじゃない!」
「うお」
机に両手を付いて立ち上がる。その音にこっちを見たクラスメイトは「ああ、いつもの発作か」という感じですぐに視線を元の方向に戻した。しかし、これは死活問題なわけで。
「なんで名前ちゃんはほっぺにちゅーされてるの!?」
「分からないけど、なんかテンション上がっちゃったんだって謝られたよ」
「うぐ、俺でもしたことないのに」
「あはは、なにそれ」
「なにそれじゃないですぅ」
「していいよ」
何故かいつもよりご機嫌な名前ちゃんが、俺に自分の右頬を向け笑う。え、どういうこと?名前ちゃんまでおかしくなった?
「しないならいいけど」
「待って待って!名前ちゃんどういうこと!?」
「したことないって言うから、したいのかと思って」
「確かにそれはそうだけどそうじゃないっていうか…!」
「はあ?」
「……別の機会に、とっておきます」
「ふうん」
「っていうか名前ちゃん、そんなこと気安く言っちゃダメだよ!?」
「及川にしか言わないよ」
「それならいいんだけどさ」
それから、絶妙なタイミングで入ってきた担任によってホームルームが始まった。表彰結果について担任が嬉しそうに生徒を褒めるている中で、さっきの言葉を思い出す。俺にしか、言わないって。流石の俺も自惚れちゃうよ、名前ちゃん。
141130
なにも考えずに書いたら本誌の時間軸を越えちゃいそうで怖いです…