100000hit | ナノ

「名前さんの学生時代ってどんな感じ?」
「ボーダー以外だと勉強ばっかりしてたな」
「勉強好き?」
「好きって訳じゃないけど、人付き合いより面倒じゃなかったから」
「まぁ、一理ありますけど…」
「あ、でもちゃんと友達はいたぞ」
「ほんとですか!」
「洸太郎とか同じクラスだったし」
「よかった…!」
「……んで、高校でも基本勉強してただろ」
「ああやっぱり…」
「悲しそうな顔すんなよ」
「だって……行事とかは?」
「いつしかの学祭でコスプレ喫茶やったな」
「え!え!なにそれ!なんのコスプレ!?写真は!?」
「ちょっと待ってな…」
「執事とか医者とかかなぁ」
「これ」
「……………これ?」
「左の、ホッケーマスクに鉈を持ってる奴」
「どう見ても殺人鬼」
「隣に馬のマスク被ってる奴いるだろ?」
「……あぁ、はい」
「それ遊びに来た太刀川だよ」
「!?な、え!まじで!」
「面白いだろ」
「めちゃくちゃ面白い…っていうかなんなんですこの喫茶店」
「さあ」
「他に記憶に残ってる思い出とかないんですか?」
「あぁ…休み時間にイヤホンして落語聞いてたらさ、なに聴いてるのって当時付き合ってた彼女に片耳取られて」
「…………」
「その日の夜にメールで別れようって言われたこととか」
「ビックリしたんでしょうね、落語」
「予想外だったから?」
「ていうか、名前さん落語好きじゃないでしょ」
「そうそう、それなんだよな」
「そのくらい分かりますよ」
「そもそも、そのCDも声が城戸さんに似てて超面白いって太刀川に押し付けられたやつなんだよ」
「あの人ほんとなにやってんの…」
「本当に似てんだよ、貸してやろうか?」
「遠慮します」



椎名様へ