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「あ、名前さんみっけ」
「……出水」
「どうしたんですか、スーツなんて着て。噂になってますよ」
「は?噂ってなんだよ」
「その格好でホワイトデーのお返し配ったんでしょ?かっこいいって女子が騒いでた」
「……クサいとか言われてなくてよかった」
「考えすぎですって」
「…これから、もっとクサいことするから」
「はい?」
「出水、ハッピーホワイトデー」
「…………バラの花束」
「……っだ、だから言ったろ!クサいことするって!やってる本人が一番恥ずかしいんだかんな!」
「……いや、あ、えーと…」
「………出水?」
「……へへ、なんつーか、これは、素で照れますね」
「…その反応なんだよ、そんな嬉しそうな顔で照れんなよばか」
「だって今日の名前さん、いつもと雰囲気違うし、ずるいでしょ」
「………花束、いる?」
「いる!」
「ほら」
「ありがとうございます!スーツの名前さん、ほんとにかっこいいすよ」
「……そりゃどーも」
「そんなんだから、見掛けた女子にボーダー内に本命がいるんじゃないかって言われるんですよ」
「それは間違ってねえだろ」
「……名前さんってそういうとこある」
「はぁ?」
「あ、これって何本なんですか?」
「24本」
「バラの花束って本数によって意味があるの知ってます?」
「うるせー!俺はさっさと換装して帰るかんな!」
「え!待ってよおれも一緒に帰る!ていうかせっかくのスーツなのに!」
「トリガー起動!」
「名前さんがそれ口に出すの珍しい!」


24本の花束
(いつもあなたを思ってます)