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「少年よ、青春してるかい」
「げっ、名前さん」
「げってなんだよ、おい」
「そんなこと言ってねえよ」
「堂々と嘘をつくのはやめなさい、荒船くん」
「……………」
「まだあのこと根に待ってんの?」
「あのことってなんだ、言ってみろ」
「あー…うちのチマキ(犬)に追いかけられたこと?」
「ちげえよ。あんたの犬は飼い主に似ねえで頭がいいからどこまでも追いかけてくんだよ」
「荒船の帽子を本人に届けてって命令した」
「死ね」
「じゃあ、荒船の携帯の着信音を犬の鳴き声に変えたこと」
「あれもお前かよふざけんな死ね」
「これも違うとなると、心当たりが多すぎて分かんないねぇ」
「ふざけんな。ていうか、なんで射撃場にいんだよ。あんた前も試してたけど、狙撃センス皆無だっただろ」
「皆無ってひでえな」
「狙撃においてはノーコンだからな」
「そうそう、それをなんとかしたくて」
「無理だろ」
「この前やった模擬戦でイーグレット使ってみたんだけど」
「は?」
「当たんないからってゼロ距離で脳天ぶちぬいたら出水が泣いてた」
「うわ」
「だから、もう泣かせないように撃ち落としたい」
「いや怖えよ、お前は鬼か」
「佐鳥の真似してツインで追いかけ回したのがいけなかったと思う」
「本気で射撃場出禁にするぞ」