sss | ナノ

「………」
「……お前、なんかあった?」
「った、太刀川か…べべ別に、なにもないけど」
「なに?出水?」
「ブッ」
「汚ねえし誤魔化し方下手だな」
「……………」
「…そんな初めて地球に降り立った宇宙人みたいな顔でこっち見んのやめろよ」
「たちかわぁあ〜」
「分かった分かった、なにがあったの」
「この前ね、お祭りで、浴衣着て出水と」
「あぁ、あの日」
「出水が、浴衣似合ってるって、言ってくれたんだけど、いつもと雰囲気違くて、なんとかお祭りは回れたんだけど、内心ずっとテンパってて」
「あー……」
「とにかく!なんか、おかしいんだよ、私!」
「いや、名前はいつもおかしいだろ」
「私の話聞いてた?そのスカスカな頭にちゃんと入ってる?ころすぞ?」
「ごめんって。具体的に、どうおかしいんだよ」
「なんかこう、出水を見るとドキドキする…これってなんなの」
「お前さぁ…やっぱり結構おかしいよな」
「なんで」
「あの時言えなかったけど、浴衣似合ってたぞ」
「えっ!マジ!?よっしゃあ二宮ざまぁ!!」
「…ドキドキしたか?」
「しない」
「真顔で即答されるとすげえムカつくなお前。結構キメ顔したつもりだったんだけど」
「これがなに?」
「アレだろ、名前にとって出水は特別だってことだろ」
「…出水はずっと前から私の特別だけど?」
「それを本人に言ってやれよ」
「なるほど、ドキドキするのも特別だからか!分かった!出水探してくる!!」
「ん?おい、ちょっとま……って早えな!あいつ絶対分かってないだろ、お馬鹿ちゃんが!人のこと言えねえけど!」