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「あれ、名前さん」
「珍しいな、悠一」
「喫煙所に居るって読んでたんだけど、ここで会うとは」


本部の入り口で悠一に会った。驚いてるのか驚いてないのか分からないような顔でぼんち揚げを差し出してくる。貰うけど。本部に呼び出しでもされたのかと聞けば、「それもあるけど」と訳の分からないことを言う。


「名前さん、久しぶりに俺に会いたかったでしょ」
「うーん」
「そこは会いたかったって言ってよ」
「会いたかった」
「棒読みすぎだから…じゃなくて、一緒に訓練室行こう」
「や、やだ」
「急いで!俺のサイドエフェクトがそう言ってんの!」


お決まりのセリフを言いながら、無理矢理俺を引っ張っていく。嫌な予感がする。太刀川に模擬戦申し込まれるとか、面倒だな。訓練室に入ると、併設されたラウンジにはやけに多くの隊員がいるような気がした。C級からA級まで、こいつら何してんだ。そうやって室内を見渡した時、よく知っている声が聞こえて動きが止まった。


「名前さんの方がかっこいいに決まってんだろ!」
「迅さんもかっこいいよ!」
「煙草吸ってるところもかっこいい」
「迅さんは煙草吸わないよ、迅さんの方が健康!」
「あの人は不摂生すぎだろ!名前さんはトマト以外なら何でも食べます〜」
「好き嫌いしてる!迅さんは潔くぼんち揚げしか食べないよ!」
「それだめだろ!」
「じゃあ、迅さんは強いよ!」
「名前さんも強い!」
「迅さんの方が強い!」
「名前さん!」


出水と緑川だ。二人の居る方を指差して頷く悠一。このために俺を連れてきたのか、こいつは。俺たちに気付かずにまだくだらない言い合いを続ける二人に歩み寄る。すげえ目立ってるから。


「二人とも、ちょっと静かにしようか」
「あっ!迅さん!」
「名前さん!」
「…出水、お前ほんと元気だな」
「ねえ名前さん、名前さんと迅さんが戦ったらどっちが勝つ?」
「あー、サイドエフェクトあるし悠一じゃないか?」


思ったことを素直に答えると、出水は何故かムッとした表情を見せて俺に正面から抱きついて来る。顔を隠すように、肩口に顔を埋める姿を見ながら自分の発言を思い出した。そうか。自分の師匠があんな発言をするのはダメだったか。


「いや、俺は戦ってみないと分からないと思うよ」
「…だそうだ、出水」
「勿論です、名前さんは強いから」
「なんなら俺と駿対名前さんと出水でやる?」
「それなら俺たちが勝つけどいい?」
「名前さん、すげー自信」
「まぁな。自慢の弟子なもんで」
「仲良くやってよね」


俺を呼びに来てくれたことに礼を言うと、悠一は眠たそうな目で笑う。他にも用があったのだろうか。


「名前さんの思ってるような未来にはならないよ、俺のサイドエフェクトがそう言ってる」
「は?」
「じゃあ俺は指令に呼び出されてるんでね。行こう、駿」
「はーい、迅さん」


悠一の言葉に眉間にシワが寄る。どういう意味だ。相変わらず俺に抱き着きながら「名前さん、お腹すいた」と集ってくるこいつの金色の頭を見て、先日太刀川と話した内容を思い出した。…あいつか。覚えてろよ。


「…食堂行くか」
「さすが名前さん!」
「さっきは勝てないとか言って悪かった、絶対勝つから」
「勿論です、俺の師匠が1番ですから」



150419
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