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「太刀川ー……って、ぐえ!」
「あーあ、名前さん」
「な、ちょ、!」


作戦室の前で太刀川を見つけ、右手を上げながら近づいた、のだが。次の瞬間、横からぬっと出てきた別の誰かの両手に、見事に隊服の襟元を捕まれ前後に激しく揺さぶられている。ブレる視界に明るい髪色を捉え、それが出水だということが分かった。


「い、いず、っ酔う、酔うから!」
「…………」
「はぁ、びっくりした…」
「……名前さんのばーか!!!」
「えっ」
「あほ!鈍感!マイペース!イケメン!料理下手!意味わかんない!!」
「な、なに?俺は今、怒られてんの?それとも褒められてんの?」


襟元を掴まれたまま出水に凄まれるが、挙げられる言葉の中にいくつか相応しくないものがあったような気がする。


「出水、」
「……う、うぅ」
「え、あの、いず……いっ!」


そこそこの勢いで鎖骨あたりに勢いよく突っ込んで、というか頭突きをされた。そのまま離れることはなく、背中に腕が回る。


「出水?」
「名前さんのばか」
「うん」
「おれに、心配かけさせて」
「………」
「……意味わかんねえ」
「あぁ」
「あぁじゃない!名前さんのばか!」
「そっか、そんなに心配かけたか」


通信での出水の焦った声を思い出した。


「しかも、キューブって、」
「ごめんな出水。でも、隊員が黒トリガーだった時の解析が出来て良かったって解析班の人たちが言ってたから、鬼怒田さんに怒られずに済んだよ」
「だからって!」
「太刀川が一緒にいたしさ。俺、お前の隊長のこと信頼してんだぞ」


多分、一緒にいたのが太刀川じゃなかったらあんな行動を取らなかっただろう。そういう面では、太刀川慶には確固たる信頼を寄せている。彼の授業に出るという言葉は信用できないが、先程まで近くに居たのに空気を読んだのか作戦室に入っていくようなところがあるのだ。自分の隊長を褒められたことで、これ以上なにかを言うのを躊躇ってしまったであろう出水のつむじに唇を落とした。


「俺、愛されてんなぁ」
「……なに言ってんですか、今更」
「機嫌直してよ、出水」
「…じゃあ、今日泊まらせてください」
「それは別にいいよ、いつでも」
「あと、コロッケ食べたい」
「仕方ないな」


151206
裏に続きそう(続くとは言ってない)


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