付き合ってる
「君は、本当に可憐な顔をしている。…近くで見れば、肌は真珠のように輝いているし、天に伸びる睫毛や通った鼻筋、口角が上がると見える八重歯…」
「ステイ、祐介ステイ」
「ああ、その体躯の曲線も美しい。控えめな主張のバストからヒップにかけてのラインは、絵にも描けぬ芸術を感じる」
「ちょっと待ってよ…なに? お金欲しいの?」
「…確かに金欠ではあるが、この言葉はそのために用意したものでは無い」
「じゃあ、急に、なに」
「まず外見を褒めろ、と」
「…誰が?」
「杏だが」

「………………杏?」
「だってぇ〜! 夢乃ってば全然男の話聞かないしっ! 祐介顔だけは良いから、夢乃が靡かないかなって!」
「ねえそれ、祐介にも私にも失礼だと思わないの?」
「思わない♡ だって夢乃と祐介がデキたら、毎日夢乃と恋バナできるし♡」
「でたな、妖怪恋バナ」
「成程。俺はいいように使われたという訳か」
「ああ、落ち込まないで祐介…」
「いや大丈夫だ。それより、誤解のないように伝えておくが…俺の発言に偽りは無いぞ」
「え?」
「確かに杏には《まず夢乃の外見をひたすらに褒めて欲しい》と頼まれたが…だからといってその言葉に心にもないお世辞は無い」
「えっ…やだ、祐介ってば………!マジ…!?」
「へえ、まあ悪い気はしないね」
「ふ、つれないな」
「これ…いい雰囲気?邪魔しないように私は帰るね…?あ、ちゃんと後日報告してね…?じゃ、じゃあね!!」
「嵐のように去っていったな…」



「…というか、夢乃はまだ伝えていないのか?俺たちが恋人同士だと」
「うん。いつ気づくのかなってたのしみに待ってる」
「そうか」
「…どうしたの?秘密にしてるみたいで嫌だった?」
「いや。杏の目から見ても、俺たちは交際しているようにみえないのもなのかと思ってな」
「あー…うん、みんなの前じゃ付き合う前と何も変わらないからね」
「手でも繋ぐか」
「…もしかして、気づかれたかったの?」
「そういう訳でもないが…」

「周りが気づかない程なのだろう、俺の愛情は。…夢乃に十分に伝わっているのか不安にもなるさ」
「可愛らしい悩みだね」
「真剣だぞ、俺は」
「大丈夫だよ、ちゃんと伝わってると思うよ。…うーん、じゃあもし今ここでキスしてってーーー」
「ん、」
「ーーー言ったら、出来る?…って聞くつもりだったんだけど、…なにもこんな往来でキスしなくても…」
「ふ、照れた夢乃は可憐だな」
「………キスが下手くそだった祐介が恋しい」
「な…っ 下手くそだったのか!?」
「ほら手、繋いで帰るんでしょ?」
「待て、話が…」


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