放課後の風/花京院


使い古されたチャイムの音は、2人きりの屋上にまでよく届く。
昼休みが終わるチャイム。
しかし、今日のこの音は下校時刻を再度告げるものであった。
春休みを前にした午前授業の日で、生徒はみんな軽やかさに満ちている。
私と典明はこっそり屋上に忍び込んでいた。
昼食を共にしてお喋りを楽しんでいたのだ。
「この後どうする?」
私はそう聞いて隣の顔を見上げる。
「んーそうだな……僕の家でゲームでもするかい?」
「私テトリスやりたい!」
食い気味な答えに典明は少し困ったように笑う。
「ふふふ、じゃあお菓子でも買って帰ろうか」
鞄を持って立ち上がった彼の背中を追いかけた。
暖かく爽やかな風に追われる。
ずっとこんな時間が続けば良いんだ。
そう思った春の日、強い炭酸のサイダーが飲みたくなった。

2021.02.15作成
2020.03.30up

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