没 | ナノ

ダンデ


いちごをつぶして

 カップをくるくるとかき回せばコーヒーとミルクはきれいに混ざっていった。その流れを見ながらわたしはマホイップが進化した日のことを思い出した。
 ポニータが欲しくてわたしはルミナスメイズの森を彷徨っていた。深い暗闇の中、きのこに触れ、心許ないあかりを得ていた。
 もともと暗いところは得意ではなかったのだ。苦手な暗闇をぐるぐると歩いた。
 やっとのことで出会ったポニータはそれはそれはかわいくて、かわいくて、持っていたボールを投げまくった。ボールを4つほど無駄にして捕まえたポニータは本当にかわいくて、うれしくって、ゴチミルと一緒に小躍りしたのだ。
 くるくるくるくる。
 一通り満足して、足を止めると手持ちのボールが光り出すではないか。驚きに思わずボールを離してしまい、中にいた子が表に出てきた。
 おめでとう マホミルは マホイップに進化した。
 クリーム色とピンクのグラデーションがかわいくってうれしくって、スマホロトムでたくさん写真を撮った。頭に乗せたいちごがかわいらしい。かわいくって、あまぁいにおいがして、なんてすてきなんだろう。

 「ただいま、真冬」
 マホイップのクリームをカフェオレの上に乗せる。
 「おかえりなさいダンデくん、」
 彼の分のコーヒーを入れるために腰を上げる。上着を脱ぎ、手指を清めた彼がソファについた。
 コーヒーを渡せば、軽くお礼を言われた。
 「寒かった?」
 「そうだな。今日はワイルドエリアにいたんだが、ひどく雪に当たってしまった」
 彼の横をポンポンと叩かれ、促されるままにそこについた。
 「真冬は今日何をしていたんだ?」
 それ、と指を刺すと彼は本をパラパラとめくる。
 「うつくしい…獣…?」
 「そう。ホウエンで今人気なんだって。」

× |
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -