菊田特務曹長
甘やかされたい
菊田さんすき
思わず結婚しようって言っちゃう
焦ってわたわたしたら、そのうち、俺から言わせてね。って言われたい。
「おかえりぃ」
「、ただいま」
自宅のドアを開ければ見知った笑顔があった。玄関にはよく磨かれた革靴が我が物顔で鎮座している。
「今日、来るって言ってたっけ」
「いや、仕事がはやく片付いたから」
合鍵を渡したのは先月の事だ。それまでもよく彼はわたしの部屋に来ていた。わたしも彼といれるのは嬉しいので初めてそれを預けたのだった。
「ほら、手を洗って、お風呂も沸かしておいた」
「えっ、ありがとう、」
時刻は21時過ぎ。入った入ったと、浴室に押し込められる。菊田さんに風呂掃除をさせてしまったという申し訳なさと、恥ずかしさと、久々の湯船に対する喜びを感じながらシャツを脱いだ。
「ああ、ドライヤーするから座りな、ほら」
タオルドライのみのまだ湿気った髪をしたわたしを座らせる。洗面所からピンクのドライヤーを持ってきた菊田さんは穏やかにわらっている。ドライヤーの音と風、彼の手のひらがわたしを撫でる。心地よさに思わず目を瞑ってしまう。
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