ふたり、やわらかな(ウツシ)

 薄灯の中、ぼんやりと意識が覚醒した。妙な気だるさと隣の体温に、ああ、と昨夜のことを想起する。
 初めて暴かれる自らにわたしは震えて、声を上げることしかできなかった。ウツシ教官の指が、唇が、触れる場所から熱を持った。鎧を取り去って無防備に肌を晒した彼からは、何の障害もなく彼自身が香り、わたしはただ、くらくらとするしかなかった。
 いつも溌溂とわたしを鼓舞する彼は鳴りを潜めて、静かにわたしを気遣い愛を吐いた。耳元に触れた吐息を思い出して、なんだかむずむずする。
 それに耐えられず、わたしは眠っている彼の胸元に擦り寄った。
「おはよう」
 頭の上から声が降ってくる。名前を呼ばれる。昨日の吐息の混じった声とも違う。
「おはようございます」
 視線だけ彼に向ければ、もうその視線がわたしを愛していると言っていた。ハチミツなんかじゃ足りない甘さを含んだ瞳にわたしが映っている。
 擦り寄ったわたしに気分を良くしたようで、ウツシ教官はぎゅうぎゅうとわたしを抱きしめた。インナー越しに彼の体温とわたしの体温が混ざる。寝起きの少し高めの体温はあついけれど、不思議と離れようとは思わなかった。
 少しカサついた彼の声なんて、長いこと一緒に過ごしているけれど初めて聞いた。そんな距離が愛おしい。彼の髪が差し込んできた午前の光に照らされて、きらきらとしている。




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