恋人がスパダリな件について

「最初はグー、ジャンケンっ」
「え、え!?なになに、待って!?」
「ポン!」


わたしがチョキで、研二はパー。
ふっふっふ、わたしの勝ちだ。


「負けたほうがコンビニでアイスを買ってくるジャンケンでした〜。わたしはハーゲンダッツでよろしく」
「アイスかぁ、たしかに今日暑いもんな。じゃあちょっとそこのコンビニまで行ってくるわ」


突然襲いかかるジャンケンにも、唐突にパシられることにも疑問を抱かず、財布を片手に玄関に向かう彼の背中を慌てて追いかける。


「ほんとそういうとこだよ研二くん」
「だって負けたほうがコンビニでアイス買ってくるんだろ?」
「いや、そうなんだけどさ」


留守番は寂しいし、やっぱりわたしも一緒に行く。そう言って、彼の服の裾をそっと掴んだ。



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bkm