18.

この戦乱の世の中、いつ誰が死ぬなんて分かった事じゃない。だから、いつも覚悟してなくちゃいけない。分かっていた。分かっていた、けど。


「深零、ちゃん…起きてよ…」
「……、さす…け?」
「!深零ちゃん!」
「さすけ…みみ、」
「なに!?」


彼女の言葉を聞きもらすまいと耳を口許へ寄せ、紡がれる言葉を待った。


「いつまでも、一緒に、」


か細く、息だけの様な声で紡いだ言葉のその先が彼女の口から発せられることは無かったけど、言葉なんていらないくらい、分かっていた。


「うん。俺様もずっと一緒に、」









「さーすけ!」
「…ん?あぁ、深零、ちゃん?」


目を覚ますとそこは誰もいなくなり茜色に染め上げられた教室だった。


「もう、なに寝ぼけてるの…って、泣いてる?」
「え、うそ…」


頬を触ると確かに濡れていて、どうやら本当に泣いていた様だ。


「深零ちゃん…」
「んー?なによ?」


さっさと帰り支度をして教室を出ようとしている彼女の背中に向かって言葉を投げた。


「俺様さ、夢を見たんだ。」
「…そう。」
「深零ちゃん…」
「…なによ。」
「思いだせなくて、ごめんね。守ってあげられなくて…」
「佐助が忘れてるなら、それでいいかなって。前世の記憶なんて、」


持ってる人、居ないからさ。
そう言って笑う彼女の顔があまりにも哀しすぎて無意識のうちに涙が溢れてきた。


「え、ちょっ、泣かないでよ!もー!」


せっかくの男前が台無しでしょ!
そう言って笑う彼女の顔が今度は本当の笑顔の気がしてなんだか嬉しくなった。


(もう離れないよ!)



すらも二人を別てない。




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