「佐助は、私を好きじゃない。」


急にに彼女の口から発せられたその言葉は暫しの沈黙を連れてきた。


「…、は?深零ちゃん、何言って…」


「私は、知っているのよ。佐助が私を好きじゃない事を。」


彼女が何を言っているのか理解出来なかった。


俺様が、深零ちゃんを、好きじゃない?何を馬鹿な事を言っているんだ、深零ちゃんは。
俺様は深零ちゃんの事が好きだ。だから、好きじゃないと言うなれば、深零ちゃんの方だろう。


「何、言ってるの?俺様は深零ちゃんの事、ちゃんと好きだよ?」


情けなく震えそうになる声を気合いで抑える。


「それに、私も、佐助を好きじゃないわ。」


雷に打たれた様だ、と例えるならば今この瞬間の事だろう。


彼女に突き放された。嫌われた。好きでいて貰えなくなった。


そんな考えが頭を回る。


「深零ちゃん、それはどういう…」


「ふふっ…あははっ…」


突如、彼女の口から溢れ出した笑い。状況が理解できない。


「ふふふっ、ごめんね佐助。ちょっとからかってみたくなって…」


嗚呼。どうやら自分は彼女の詰まらないからかいにまんまと引っ掛かってしまったようだ。


文句を言ってやろうと口を開きかけた時、彼女が先に口を開いた。


「あ、でも私が佐助を好きじゃないって言うのは本当よ?」


今度こそ、雷に打たれた様だった。


「え…深零ちゃん…それは、どういう…」


「好き、じゃなくて、愛してるの。」


どうやら、俺様は彼女に頭が上がらないらしい。





最大値





「俺様も、好きじゃない。愛してる!」





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