―――この世から、消えて無くなりたいのが私の夢、なんて言ったら佐助はどんな顔をするんだろうね。



どうせ冗談だろ、って言って笑うんだろうね。



そしたら私は怒って佐助を叩くんだろうね。

冗談じゃないのに、って言ってさ。



そしたら佐助は困った顔をして抱き締めてくれるのかな?







「―――!!……ッ!!――…!!」



何を、叫んでるの?
よく、聞こえないよ。



聞こえるのはさっきよりも大きく感じる雨の音。



それと、自分の―――心臓の、音。



あぁ、手が動かない。
身体が重い。
佐助が何を言っているのかが分からない。



泣いている訳じゃないのに視界がぼやける。



ぼやける視界の端に映ったのは鮮やかな―――朱、



あぁ、そうか。
私、轢かれたんだ。



―――死ぬんだ。



最期に、言わなくちゃ。



上手く口に力が入らないや。



「――――――――」


ちゃんと、伝わった、かな?






闇に包まれていくように世界は暗転した。



夢、叶っ









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