「ねぇ、佐助。」 「ん?なーに?」 「喉乾いた。」 「はいはいっと。今買ってくるね。イチゴミルク?」 いつもこんな感じで私の頼み事を聞いてくれる佐助。 私の頼み事を聞くしかしてくれない佐助。 それ以上を求める訳でもなくそれ以下に成り下がる訳でも、ない。 別にこのままが嫌なわけではないけど幸せな刺激が足りない。 「ねぇ、佐助。」 「ん?今度はどうしたの?」 「別れよっか。」 そう言って微笑んでやると彼の腕に引き寄せられた。 「悪い冗談言わないで、っていつも言ってるでしょ?」 制服越しに感じるのは彼の温もり。 「俺様は、別れる気なんてないからね。」 あぁ、この瞬間に私は最大の幸せを感じるんだ――― 全てはエゴだったとしても、幸せを感じられるなら――― 「ごめん、」 「だけど…」 「―――――――。」 そう言ってやると彼は目を大きく見開いた。 (やめられそうにない。) 幸せを。 (巨大な幸せを、感じたかったんだ。) |