夜の空をビュンビュンと飛び回る遊びをしていたら、上から人間ボクの上に落ちてきた。 こんな所から人間が飛び降りたら死んでしまうので、この人間はいつだっけか兄上が言っていた『ジサツシガンシャ』だと思う。『ジサツシガンシャ』と言うのは死にたい人間だから見つけても構うな、と兄上が言っていた。 と、言うことは。この『ジサツシガンシャ』はボクの背中から落としてあげた方が良いのかもしれません。 そう思ってボクの背中に居る『ジサツシガンシャ』を見た時、『ジサツシガンシャ』は自分で死のうとしていたクセに酷く怯えた顔をしていた。 ボクは少し驚いてちょっとこの人間に興味が湧いた。 「ハジメマシテ。ボクはアマイモンです。ジサツシガンシャの名前を教えて下さい。」 自分で自分に驚いた。気付いたら口走っていた。 「…深零、です…」 恐怖で喉が震えているのか、『ジサツシガンシャ』は震える小さなか細い声でそう言った。 「そうですか、深零と言うのですか。」 この瞬間、『ジサツシガンシャ』は『深零』になった。 ハジメマシテのあいさつ |