身体に力を入れ、立とうと試みたが脚に力が入らずその場にどさ、と倒れ込んでしまった。

医者には、恐らくもう二度と立って歩く事は出来ないだろう、と言われた。

しかし、信じなかった。いつか歩ける日が来ると信じていた。いかに偉大な医者でも間違いを犯すのだ、と。

そしてまた立って歩くべく身体に鞭打った。

転んだ際に打ちつけた箇所はいつしか大きな痣となっていた。しかし、そんな痛みよりも情けなさから来る心の痛みが大きかったため、全く気にはならなかった。

またこの足で立って歩く事が出来るのだ、という希望と共に再び身体に力を込めた。







ただひっそりと木陰から此方の様子を窺っている人物になど気付きもせずに。





( その行動に利がないと知ってなお続けるのは狂人のすることですか )




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -