俺様を冷たい死が俺様を包んでゆく。先刻、最後の敵から受けた傷が致命傷って所かな… 敵陣で攻撃を受けるなんて俺様らしくないなあ… 別に死を受け入れる事は怖くない。だけど…… 「深零ちゃん…」 彼女と、もっと一緒に居たかった。 彼女と、もっと笑い合いたかった。 彼女と、もっと… 「なんだよ、これ…」 頬を死とは違う冷たさが伝ってゆく。 「後悔、ばっかりじゃないか…」 初めて流すかもしれない涙が頬を次々と伝ってゆく。 「すきだよ、深零、ちゃん…」 既に空気しか出なくなった唇で忍隊の長が紡ぐのは、 "あいしてる" 誰よりも愛した娘への愛の言葉だった。 幸せに、なってね。 異域之鬼 いいきのおに(他国で死ぬこと。また本国に戻らない死者の魂を言う。) |