この世の中、自分だけが良ければそれで良いと思っている人が五万と居ると思うのよね。だから、私なんてそのうちの一人なのよ。 「佐助。」 「なぁに?姫様」 「私、今度輿入れするわ。」 「…知ってますよ。忍隊の長ですから。」 「なんだ、つまらないの。」 本当に、つまらない。もう少し驚くとかしてくれれば楽しいのに。こんな反応、私がつまらないじゃないの。 「そんなにつまらなそうな顔をしなくてもいいじゃないですか。」 「だって本当につまらないのですもの。」 ぶつぶつ言ってむくれてやると困ったように眉を下げる佐助。そうやって何時までも困っていればいいわ。 「ほら、そう何時までもむくれてないで下さい。そんな顔してたら相手の殿方が驚いちゃうでしょ?」 一層佐助の眉が下がった。 本当、つまらないわ。 「―――――。」 「ん?何か言った?」 「なんでもないわ。」 「もっと、私の為に寂しがりなさいよ。」 利己主義 りこしゅぎ(自分の利益だけを考え他人を顧みない事) |