晴れた日曜日のお昼下がり。少し時間が出来たので最近できたばかりというお洒落な喫茶店に入ってみる事にした。前々から気になっていたものの、一人で入る勇気が無かったのだ。
しかし、今日は何故だか自然と足が店へ向かった。

扉を開くとカランカラン、と綺麗な音が店内に響いた。


「いらっしゃいませ」


店長らしい、綺麗なお姉さんがにこり、と微笑みかけてくれる。私には到底真似出来ない様な柔らかい笑みに同性ながらも少しドキリ、としてしまった。


「お一人様ですか?」
「あ…はい。」
「では、申し訳ありませんが相席で宜しいですか?」


しまった、と思った。
こんなお洒落なお店が日曜日のお昼下がりに空いている訳が無い。
断ろうとしたがお姉さんは既に相席の確認をとってしまった様だ。


「では、こちらへどうぞ。」
「あ、はい…すみません…」


案内された席に俯いたまま座る。


「では、ごゆっくりどうぞ。」


メニュー表を置いてお姉さんは行ってしまった。


「あのさ、」


とりあえずメニュー表を開こうとしたら相席の人に声をかけられた。


「え?」


びっくりして思わず顔を上げてしまった。


「ここのカプチーノ、俺様のオススメだよ?是非飲んでみて?」


お姉さんとは違う、柔らかな笑みにドキリとして思わず目を反らしてしまった。


「は…はい。えと…飲んでみますね。」


私はそう言って少し引きつった笑顔で返すのが精一杯だった。

とりあえず相席の人に言われたカプチーノを頼んでみた。良い香りに思わず顔が綻んだ。


「幸せそうな顔だね。」
「あ、すみません…」
「んー?謝る事じゃないよ?可愛いし、ね?それじゃ、俺様は何時もこの時間にいるから。またね?」



また、心臓がドキリとした。






奇縁

あいえんきえん(不思議な巡り合わせの縁の事)



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