「深零ちゃん!今日も会いに来たよっ…!」
「Ha!また性懲りもなく来やがったか猿!」
「ちょ、竜の旦那邪魔っ…!俺様の深零ちゃんが見えないでしょうが!」
「何寝ぼけた事言ってやがる!深零は俺のだ!」
「はぁ!?ちょ…」


(略)


「よぉ、深零。今日もアイツら元気だな。」
「…そうみたいね…。ていうか止めてきてよ慶次…」
「嫌だよ。一人の女を奪い合ってんだ。それに口を挟むなんて野暮な事できねぇよ。」


はぁ、と大袈裟に溜め息を吐いてやれば深零も悩んでるんだねぇ、とどこ吹く風の慶次。


「大体、奪い合っているって言ったって、」
「ん〜?」
「一人は肉親じゃない。」
「あぁ、そうだったな。余りにも真剣だからさ。つい。」


それもそうだ。あれだけ真剣に奪い合っていれば誰だって肉親だと思わない。


「それに、」


ツカツカと二人に近寄っていく深零。


「もう一人は彼氏、でしょ。」
「へ?あ、う?」


佐助の腕を引いてその場を去る。しかし、腕を引かれた佐助の方は状況に頭がついていかないらしく呆けた顔になっている。


「そうでした。」



去っていく二人に向かって聞こえないであろう声を投げかける。


「独眼竜さ、」
「なんだよ。」
「いい加減アイツを認めてやったら?深零に対してちょっと過保護過ぎるよ?」
「…Ha!誰が認めるか!」


どうやら、アイツの道のりは険しいらしいね。





「佐助さ、なんでめげないの?」
「ん〜?それはねぇ、」


口の側に手を当て、まるで小さな子供が内緒話をするかの様にする佐助。


「深零ちゃんをあいしてるからです!」


その内緒話の格好にそぐわない声の大きさで告げられた愛の言葉。
どうやら私の顔の赤みを抑えるのは無理みたいです。


「俺様は深零ちゃんの為ならどんな困難にだって立ち向かうよ!」






勇往

ゆうおうまいしん(困難をものともしないで、ひたすら突き進むこと。)



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