squirrel 10
「あー飲んだ飲んだ!たまにはいいよなぁ〜」


明け方、バースデーパーティと言う名の飲み会はやっとお開きとなった。べろんべろんに酔っ払ったGは上機嫌だ。かくいう私は眠っていたところを起こされ不機嫌である。


「リス子?ほらゲージん中入れってー」


ちょっとくらいのワガママは許されるだろう。


「怒ってんのか?」
「キュっ!」
「じゃあ、たまには一緒に寝るか!」


一体どんな解釈をしてそうなったんだろう。Gは私を枕元に置く。余程熱いのか、それとも脱ぎ性なのかは分からないが冬だというのにネクタイとワイシャツを脱ぎ捨てそのままベットに寝転んだ。


「リス子〜こっちこいよー」
「……。」
「大丈夫だよふみつぶさねーから!」


ほれほれ、と指を折り曲げるG。…殺されるに違いない握り潰されるか踏み潰されるかのどっちかだ。


「キュウー」
「リス子〜」
「きゅっ、」
「エデン、おいで?」


あ……、またあの顔だ。


「へへ、よしよし、偉いぞエデン!」


ふわふわとまた背中を撫でられ、そのまま丸くなった私に手を被せると静かになってしまった。胸から上は布団から出てるし、絶対風邪引くなこの人。


「キュウ。」
「エデン、寂しいのかぁ?」
「!」
「もうすぐクリスマスだ、そしたら年が明けて…春になる。仲間が恋しいか?」


この酔っぱらいは寝ぼけながら何を言ってるんだ。


「エデン、帰るなよ…、ずっといろよ、お前の誕生日にはお前の大好きないちごをたくさん用意するからよぉ、」
「キュウ、」
「可愛いな、お前は…」
「キュ!?」
「また、喋ってくれよ…そしたらお前のこと、わかるから…」


G、でもまだ喋る勇気がないよ。
ひどいことをされる、というより二人に拒絶されそうでさ…。ここは居心地がいいから。


「あ、そーだ。」


目を閉じていたGはぼんやりとまぶたをあけた。


「キュ?」
「知ってるか?お前がくれたスノードロップの言い伝え。」
「キュウー」
「ふふん、知らねーだろ。スノードロップはなぁ、天使からのプレゼントなんだ。」


は?天使?


「エデンの園を追われ、雪降る冬の世界へと追い出されたアダムとイブ…。絶望と寒さで、嘆き悲しむ二人の前に、天使が現れるんだ。そしたらよぉ、天使は『必ず、暖かい春がやってくる。』って二人を慰めて、雪に手を触れると、溶けた雪のしずくがスノードロップの花になったんだってさ。」


知るわけないよ、そんなの。


「ロマンチストだよな、古代人ってやつはさ。でもお前、それになぞらえるとアレだ…エデンは天使だな。」


酒の飲みすぎで頭が沸いたのだろうか。


「お前今バカにしたろー、これ最大級の感謝の口説き文句だかんなー。」


相変わらずのナンセンス。


「本当にエデンが天使なら、お前と会話出来んのにな、お前が天使なら…きっと、浅葱色の目をした、綺麗な女の子だ。」
「………。」


それを最後にGはまたまぶたを閉じた。そんなに私と会話がしたかったのだろうか。本当は出来るから、なんだか後ろめたい気持ちになる。

……………。
酔っぱらいだ、きっと大丈夫。






「誕生日おめでとう、G。」















G、雪だよ。
触りたくなるしい白





(また、聞こえた…。酔ってるからか?それとも夢か?)

(エデン、お前はリスだけど、お前が大好きだ。もし話せるのなら話したいことがたくさんある、ジョットの愚痴から…色々な。)


(とりあえず今日は、スノードロップの礼が言いたい。お前はあの時なんて言ってプレゼントを渡してくれたんだ…?)





"Snowdrop" end!

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