戸惑い
「おい、華」
総悟に呼ばれ、ビクッとする。
総悟が遊びに来てくれたと言うのに、頭の中では銀さんの事ばかり考えていたからだ。
「なんか、心ここに在らずって感じですねィ」
「ごめん、今仕事が忙しくて仕事の事考えちゃってた」
嘘をついてしまった。嘘がバレる事はないだろうが、総悟はふーん。と一言漏らす。
「最近、家デートばっかりだろィ。たまにはどっか行きやしょうか?」
「連れてってくれるの?」
おう、とぶっきらぼうに返されたが私のテンションは上がる。
日帰りでいいから、何処か旅行したい!と提案すると
「どうせ行くなら1泊しやしょうぜ」
と、一言。きっと、仕事を無理して休んでくれるのだろう。
そんな心づかいがすごく嬉しくて、総悟に抱きつく。
頭を撫でられて、2人でベットに寝転がる。
ヤル気モードに入った総悟だったが、後でね。と断り、旅行先を、ケータイで調べる。
「美味しいもの食べて...観光して...」
「セックスもする」
総悟の発言に、軽いチョップ入れる。
「なァ、華」
「なぁに?」
「今度の旅行、楽しみですねィ」
「うん...」
この時、私の頭の中は総悟一色になってないといけないはずだったのに。
何故か銀さんの顔が頭を過った。
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