#危機
私の今日の一日。
タマネギの皮を剥く。
人参の皮を剥く。
洗濯物を干す。
米を炊く。
大量のカレーを混ぜ続ける。
廊下を雑巾掛けする。
また、米を炊く。
そして.....
「グズグズすんじゃないよ!厨房は戦場なんだ!覚えときな新人!」
「はいっ!!」
そしてまた、タマネギの皮をひたすら剥く。
私の人生コイツらに潰されちゃうんだ。終わっちゃうんだ。ひたすらタマネギ剥かされるんだ。
「おい、新人!!」
「は、はい!!何でしょうか怒緒羅さん!」
「上がっていいよ。今日1日よくやった。アンタが来てくれて助かったよ。根性ありそうだしね」
「怒緒羅さん.....」
ココにきてツンデレだとぉおぉお!!!
やめてよ、そんな事言われたら辞めにくいってか辞めれない雰囲気!!
「あら、怒緒羅さんが新人さんにそんな言葉掛けるなんて珍しい」
「お黙りさつき。頑張る子には私も褒めるさね」
やめてー!!!
お願いだからー!!!!!
明日も頼むよと言う怒緒羅さんの台詞に、私は力無くはい。と答えた。
帰ろう....このままじゃ向こうのペースにやられてしまう。ジブリの世界から抜け出せなくなってしまう...
「お前の帰える場所は、オレの部屋でィ」
「出たな、沖田総悟。てか、人の心勝手に読むなよ」
「はーい。コレはオレからのプレゼントでさァ」
渡された物を受け取ると、お風呂の桶でその中にはシャンプーやらボディーソープ。
「コレ...?」
「お風呂セットでさァ。早く入って来ねーと、布団に入れやせんぜ」
「いえ、大丈夫です。自分の家帰りますんで」
「あぁ、お前の部屋解約しやした」
「そうなんですか。それじゃあ........」
え?解約?
嘘でしょ?ないよね。まさか帰る家ないとかないよね。
「嘘じゃねーぜ?お前の荷物もオレの部屋に運んでありやす」
猛ダッシュで沖田の部屋へ行くと私の私物が大量に.....。
「アンタ何してくれてんの!!??コレ犯罪!!」
「訴えやすかィ?」
この余裕な顔マジ腹立つ。
「観念しなせェ。お前に逃げ場はないんですぜィ」
「この...クソ野郎.....」
「分かったら、早く風呂入って来なせェ」
「...これ以上アンタの言いなりになるのは....ごめんだぁあぁ!!!!」
私は沖田に桶を投げつけ怯んだスキに真選組を抜け出して走った。
無意識に私は歌舞伎町へと逃げ込んでいた。裸足のまま飛び出したせいで、足が痛い。だけど、止まる訳にはいかなかった。
「おい、お姉さん。待ちな」
知らない男に腕を掴まれる。
離して!!と抵抗するが腕はビクともしない。
「アンタ今、俺の足を踏んだんだよ。どーしてくれるんだぁ?」
「アニキ...連れて行きますかぃ?」
「あぁ。お姉さん、ちょっとオレらに着いてきてもらおうか」
「イヤ!!離して!!」
正義のヒーローが現われても良さそうな展開なのに、人生はそんなに甘くないらしい。
腕を引かれたまま、裏路地に連れて行かれた。
「私を誘拐しても何もいい事なんてないわよ!!家族いないし、身代金払う人なんかいないんだから!!」
「くっくっく...金儲けしようとしてんのは正解だが、俺らがアンタに求めてんのは身代金じゃねえ。...身体だよ」
「身体で金稼いで貰うだけだから安心しな〜」
私が思ってた以上に最悪な展開だ。
大声を出そうとした瞬間、口にハンカチを当てられる。
「ちょっとばかし、眠ってな。お姉さん...」
ベタな感じに私の意識は途切れた。
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