2013 | ナノ


気づいたら赤ん坊になっていた。な、何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった状態である。しかも前世の記憶持ち。私は前世で女だったのにも関わらず、しっかりと意思を持っている状態で今度は男で赤ん坊をやれというのはあまりにも酷過ぎるとは思わないのか?この世界の神様は何やってんだ仕事しろよ!

もういいか、と諦めつつも赤ん坊は何もしなくていいおかげで考える時間はたくさんあった。しかし度々目につく文字を見て頭が痛くなった。ハンター文字?最初はなにかの記号だろうかと思ったが、いや、思いたかったが、それが新聞やテレビ、ありとあらゆるものに使われていてこれが共通語なのだということは嫌でも思い知らされた。

そして一番知りたくなかったこと。別に男に生まれ一人称も俺に変え、ハンター世界に生まれたからってなんだ、新しい人生だと思って生きればそれでよかった。ただ、お隣さんの子が同い年でフィンクスだったということが問題だったんだ。


「フィン」


名前を呼ばれて振り返るのは言わずもがな幻影旅団のフィンクス。最初は他人の空似かと思いたかったが、幼い頃のフィンクスの雰囲気と突然隣の家からフィンクスだけが姿を消したときに完全に俺の知っているフィンクスと一致した。ああ、捨てられたのか、と。それでも、この世界から存在がなくなったとしても、フィンクスは悪友でもあり親友で、俺はフィンクスの存在を捨てるなんてことはできなかった。


「おー、ナマエ、久しぶりだな」
「久しぶり、お前また背伸びたんじゃねーの?」


そういってフィンクスの足を軽く蹴ってみれば、お前が小さいんだろ、と笑いながら軽く蹴り返された。いや、俺180だから、小さくねーから。

フィンクスがいなくなったとき流星街に捨てられたんだろうなと思った俺は、一人で流星街に向かった。正直、ぬくぬくと幸せに過ごしている俺を見たらフィンクスは嫌悪感を抱くんじゃないだろうかと思っていたが、それとは逆で、勘違いをしていた自分が少し恥ずかしくなった。


「今日は仕事休み?」
「ああ、昨日盗んだばっかだから団長も今頃愛玩してんじゃねーか?」
「なるほど」


親に内緒でよく流星街に行っていたせいか、昔クロロに旅団に入らないかと誘われた。そりゃもちろん驚いたし、その分嬉しかった。俺のこと仲間だって認めてくれてるんだなって気持ちになって。まあ、返事はノーだったが今でも旅団とは仲良くしている。原作通りでいくならもう少しでクルタ族を襲撃する頃か?


「団長がお前も今度参加しないかって言ってぞ」
「俺団員じゃないんだけど」


ほぼ団員みたいなもんだろ、と笑いながら背中をばしばし叩かれた。強化系なんだからもっと力加減をしろ!じゃれ合いながら取り留めのない話をしていれば、いつも通っている喫茶店に着いていた。いらっしゃいませーと可愛らしい女の子の声が聞こえて、いつものウエイトレスににこりと笑顔を向ける。


「……あれ?髪の色ちょっと明るくなった?」
「えっ、わかったんですか!?」
「うん、前の色も似合ってたけど今の色もすごい可愛い」


そういうと彼女は顔をほんわか赤くしながらはみかみつつ、ありがとうございますと言った。あー女の子ってどの世界でも癒しだな、ほんと。そんなことを思っているとフィンクスから怪訝な顔で見られていたことに気付く。え?もしかしてにやけてるの顔に出てたか?


「なに、フィン。俺の顔になんかついてる?」
「お前、ほんとタチの悪い天然タラシだよな」

わかるように説明求む
「どこら辺が天然でタラシなわけ?ていうかタチ悪いってなにが?」
「ほら、そういうとこ」
全くもって意味がわかりません。

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